自治体法務の備忘録

管理人のTwitterは、@keizu4080

re:さいたま市、新旧対照表方式採用

 schwantnerさんがご掲載の記事から

さいたま市が、今年度から「新旧対照表形式」を採用したようである。
ここ(http://www.city.saitama.jp/www/contents/1210585684619/index.html)を確認して頂くと分かるが、旧年度専決は「改め文形式」だが、新年度専決(市税条例)は「新旧対照表形式」である。
http://d.hatena.ne.jp/schwantner/20080524/p2

 そう言えば、埼玉県では春日部市の先行事例が有名でしたね。
 schwantnerさんには拙blogでの新旧対照表方式の例規改正に関する記事(http://d.hatena.ne.jp/kei-zu/searchdiary?word=%bf%b7%b5%ec%c2%d0%be%c8%c9%bd%b7%c1%bc%b0)をご紹介頂きましたが、併せてご紹介のhoti-akさんの記事(http://d.hatena.ne.jp/hoti-ak/searchdiary?word=%bf%b7%b5%ec%c2%d0%be%c8%c9%bd%ca%fd%bc%b0)との充実の違いが恥ずかしい限り。まあ、かなり早い時期からこの件についてはコメントしているということでお許しいただくとして。
 さて、新旧対照表方式の例規改正の導入に当たっては、官報の改め文が読めなくなるとの意見もあって、washitaさんは上記の私の記事に前後して

・・・何も全員が読めなくたっていいと思うのですが。官報。
そもそも、改正原議を作成するのは官報を読むトレーニングのためではないはず・・・
http://d.hatena.ne.jp/washita/20060122/p1

とご指摘されていて、まあ、そうですね、なのですが、話題の後期高齢者医療制度がらみの、色とりどりのマーカと書き込み、付箋がびっしりの約2年前の法改正の官報コピーを見返して、現状では、やはり、自治体においても改め文を「読む」技術はその運用と表裏一体なのではないかと思います。また、附則における施行日や経過措置の規定ぶり

第○条の改正規定(「A」を「B」に改める部分に限る。)

のように、「書く」技術もその運用と表裏一体なのではないでしょうか。
 その意味では、

分かり易いという理由だけで安易にこの方式を導入するのはいかが

というschwantnerさんのご意見に個人的には賛同するところです。
 なお、新旧対照表方式の例規改正については、未だ蓄積が十分ではない中で様々に工夫がされている実情なのは皆様ご存じのとおりですが、ちょっと前の「自治体法務NAVI」誌(第一法規)に興味深い記述がありました。

しかし、新旧対照表方式による改正は、その手法が確立されたものということはできず、自治体において創意工夫の上、行われているのは周知のとおりです。このことからも、鳥取県では改め文を組み合わせたような方法をとることがあります。

鳥取県港湾管理条例の一部を改正する条例(平成16年6月25日鳥取県条例第36号)】
 鳥取県港湾管理条例(昭和35年鳥取県条例第6号)の一部を次のように改正する。
   [新旧対照表の掲載](略)
   附 則
1・2 (略)
 (鳥取県港湾管理条例の一部を改正する条例の一部改正)
3 鳥取県港湾管理条例の一部を改正する条例(平成16年鳥取県条例第22号)の一部を次のように改正する。
  鳥取県港湾管理条例の一部を改正する条例第2条の規定中、鳥取県港湾管理条例第8条の改正規定を削り、同条例第10条及び第14条の改正規定を次のように改める。
   [新旧対照表の掲載](略)

自治体法務NAVI」Vol. 20(45頁)

 一部改正例規の一部改正を新旧対照表で対処することの困難さは指摘されるところですが、その内容が図らずも表れた事例と言えましょうか。