新旧対照表ってルールがあるの?
新旧対照表の書き方は、法令事務担当者として知っておかなければならない技術の一つであるが、公的な根拠はなく、解説したものもないので、若干乱れが見られる。確定したルールがないので、幾つかの流派があるようであるが、最も典型的な書き方について解説することとする。したがって、ローカルルールを定めることは、全く問題ない。
「分かりやすい法律・条例の書き方[改訂版]」磯崎陽輔(ぎょうせい)269頁
上記のとおり、新旧対照表には確定したルールはありません(総務官僚だった著者は、現在では内閣総理大臣補佐官です)。
【国の例】
ささいな内容ですが、具体的には、
・表に掲載する条の表記方法
※条ごとに1行あけるものあり、あけないものあり
・改正がある以外の項や号の省略方法
※「略」か「(略)」か
※省略した項や号の掲載方法もそれぞれです。
などがあります。
新旧対照表は、改正法案を併せて国会に提出されるものですが、記述の違いは許容されるようです。上記の引用では「流派」とありますが、省庁ごとの癖でもあるのでしょう。
【自治体の例】
このようにローカルルールの塊である新旧対照表ですので、自治体ごとの違いは小さくありません。
・一番大きな例は、縦書きか横書きか
※自治体は横書き例規が多いので、新旧対照表は横書きが多い
・横書きの場合は、左右の順に「新・旧」と並べるものと「旧・新」と並べるものがある新 旧
第○条 何々 第○条 何々旧 新
第○条 何々 第○条 何々なお、縦書き表記のものは、上下の順で「新・旧」しか見たことないです。
・「新」「旧」の表記が「改正後」「改正前」になっている。改正後 改正前
第○条 何々 第○条 何々・傍線を引いた改正箇所の書体
※明朝体かゴシックか
ざっと思いだしたところは、上記のようなものがあります(同一自治体内でも、規模の大きな自治体はルールの統一が出来ていないと思います)。
なお、法令・例規改正の手順は、「新旧対照表の作成」→「改め文の作成」と思われるかもしれませんが、法制執務の考え方からすると、改め文形式の一部改正法律・条例であれ、独立した一つの法律・条例です。
したがって、法律・条例案に添付される新旧対照表の性格は、「解釈のための参考資料」にとどまるわけですね。国会に提出される新旧対照表に「流派」が許容されるのは、そんなところにも原因があるのでしょう。