自治体法務の備忘録

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情報開示の是非、裁判官が判断 情報公開法改正素案

 枝野幸男・行政刷新相が検討を進めている情報公開法改正案の素案が9日、明らかになった。情報公開を巡る訴訟の際、不開示と決定された文書や黒塗り部分を裁判官が直接読み、開示の是非を判断できるようにする制度の導入が柱。また、法律の目的として「国民の知る権利」を明記する。改正案は6月中にまとめ、秋の臨時国会での成立を目指す。
http://www.asahi.com/national/update/0410/TKY201004090573.html?ref=goo

 いわゆる「インカメラ審理」ですね。
 国に対する情報公開請求訴訟において、このインカメラ審理の実施の可否が争われたところ、現行法においてはこれが否定されるべきとされたのは、まだ記憶に新しいところです。
【情報公開訴訟:「インカメラ審理」を却下 最高裁が初判断】http://d.hatena.ne.jp/kei-zu/20090119/p2
 同判決では今後の立法裁量に期待される意見もあり、このたびの法改正は、政権交代後においてその流れを受けるものといって良いでしょう。
 もちろん、このことについて否定的な見解を持つものではありませんが、立法論的に気になるのは、自治体の情報公開を所管する情報公開【条例】において、司法権への関与まで記述できるのか、という点です。
 このことは、上記の判決の際にも記述いたしました。

自治体条例と制定権の限界】
 各自治体の情報公開条例において、不服申し立てに係る対処としてインカメラ審理が規定されるのは、自治体の自主権の範囲内なのでなんら問題は無かろう。しかし、司法に場を移した場合の取り扱いについて、これを条例で定めうるか。
(略)
 また、インカメラ審理に係る情報公開法の改正後に、これを規定しない条例に基づく訴訟が提起された場合において、やはりインカメラ審理は実施されえないのだろうな、とは思うのですが、翻って、法改正前に「先進的」な自治体が司法におけるインカメラ審理を情報公開条例に規定した場合、果たしてこれに基づいて審理は進められるのか。
http://d.hatena.ne.jp/kei-zu/20090121