自治体法務の備忘録

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Re:余計なお世話〜情報公開法と情報公開条例の関係

 「法学セミナー」最新号(11年10月号)に掲載の拙稿について、hoti-akさんにご意見いただきました。感謝。
【余計なお世話〜情報公開法と情報公開条例の関係】http://d.hatena.ne.jp/hoti-ak/20110923
 拙稿では、自治体における情報公開訴訟における「インカメラ審議」の取扱いについて、審議中の改正情報公開法では「情報公開法に準ずる」規定がなされたことへの違和感について記述しました。
 このことについては拙blogでも触れさせていただいたことがありますが(http://d.hatena.ne.jp/kei-zu/20090121)、hoti-akさんも批判的に意見を述べられた上で、本規定は訴訟法にこそすべきであると記述されています。

情報公開法は、あくまでも国の行政機関の情報公開に関する法律であるため、自治体に関する規定を書くことは無理があるのである。したがって、現在国会に提出されている情報公開法の改正法案に規定されているインカメラ審理に関する手続について、情報公開条例に基づく情報公開についても情報公開法で規定しようとしているが、どうしても違和感が生じてしまう。インカメラ審理に関する手続は、一般的な手続ではないということで情報公開法に規定しようとしているのであろうが、本来であれば訴訟法で規定すべき事項である。

 紙幅の関係ではしょってしまいましたが、法律で「情報公開条例」における取扱いを定める例は、著作権法などにも見受けられます。

著作権法
(公表権)
第十八条  著作者は、その著作物でまだ公表されていないもの(その同意を得ないで公表された著作物を含む。以下この条において同じ。)を公衆に提供し、又は提示する権利を有する。当該著作物を原著作物とする二次的著作物についても、同様とする。
2  (略)
3  著作者は、次の各号に掲げる場合には、当該各号に掲げる行為について同意したものとみなす。
 一・二 (略)
 三  その著作物でまだ公表されていないものを地方公共団体又は地方独立行政法人に提供した場合(開示する旨の決定の時までに別段の意思表示をした場合を除く。) 情報公開条例(地方公共団体又は地方独立行政法人保有する情報の公開を請求する住民等の権利について定める当該地方公共団体の条例をいう。以下同じ。)の規定により当該地方公共団体の機関又は地方独立行政法人が当該著作物を公衆に提供し、又は提示すること。
4 (略)
※強調はkei-zuによる

 しかるに、hoti-akさんもご指摘される「インカメラ審理」に関する規定が情報公開法に置かれることの違和感は、本来の「棲み分け」をさておいて、「国法−条例」の序列関係が起草者の意図に(無意識的にせよ)見受けられることによるでしょうか。
 であれば、それは氏が標題とされたように「余計なお世話」でありますし、拙稿の結びに記述した、立法機関や司法機関を情報公開機関の含めるべき立法的課題こそ検討されるべき事項でありましょう。