自治体法務の備忘録

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手数料を郵便切手で支払うことができるか

 標記の質問は法規担当であった頃からよく受けました。一部の通信販売にあっては、料金の支払を切手で行う例があることによるでしょう。
 結論から言うと手数料を郵便切手で支払うことは出来ません。
 自治体の歳入は現金と基本としますが、その特例は法令で規定されているからです。歳入の方法をまとめると次のようになります。

  1. 現金
  2. 証紙による収入(地方自治法231条の2第1項、第2項)
  3. 口座振替による収入(地方自治法231条の2第3項)
  4. 証券による収入(地方自治法231条の2第3項、地方自治法施行令156条)

 上記の「証紙」とは、自治体が条例に基づいて発行するものです。

千葉市収入証紙条例】
(種類及び様式)
第3条 証紙の種類は,券面額30円,40円,50円,70円,100円,200円,500円,1,000円,3,000円,5,000円及び10,000円の11種とする。
2 前項の証紙の様式は,別に規則で定める。

 また、「証券」については地方自治法施行令に具体的な記述があります。

(証券をもつてする歳入の納付)
第百五十六条  地方自治法第二百三十一条の二第三項 の規定により普通地方公共団体の歳入の納付に使用することができる証券は、次に掲げる証券で納付金額を超えないものに限る。
 一  持参人払式の小切手等(小切手その他金銭の支払を目的とする有価証券であつて小切手と同程度の支払の確実性があるものとして総務大臣が指定するものをいう。以下この号において同じ。)又は会計管理者若しくは指定金融機関、指定代理金融機関、収納代理金融機関若しくは収納事務取扱金融機関(以下この条において「会計管理者等」という。)を受取人とする小切手等で、手形交換所に加入している金融機関又は当該金融機関に手形交換を委託している金融機関を支払人とし、支払地が当該普通地方公共団体の長が定める区域内であつて、その権利の行使のため定められた期間内に支払のための提示又は支払の請求をすることができるもの
 二  無記名式の国債若しくは地方債又は無記名式の国債若しくは地方債の利札で、支払期日の到来したもの
2・3 (略)

 上記第1号の規定のうち「総務大臣が指定するもの」として、郵便定額小為替が告示で示されています。
 これに対して郵便切手は、郵便法に基づく郵便の前払に関する証票です。したがって、手数料の支払に使用することは出来ません。

【郵便法】
(料金支払の方法及び時期)
第二十八条 郵便に関する料金は、この法律若しくはこの法律に基づく総務省令又は郵便約款に別段の定めのある場合を除いて、郵便切手で前払をしなければならない。
2  料額印面の付いた郵便葉書及び郵便書簡については、これを郵便物として差し出したときに、料額印面に表された金額の限度において料金の支払があつたものとする。

 順番が前後してしまいましたが、地方自治法を掲載しておきましょう。

地方自治法
(証紙による収入の方法等)
第二百三十一条の二 普通地方公共団体は、使用料又は手数料の徴収については、条例の定めるところにより、証紙による収入の方法によることができる。
2 証紙による収入の方法による場合においては、証紙の売りさばき代金をもつて歳入とする。
3 証紙による収入の方法によるものを除くほか、普通地方公共団体の歳入は、第二百三十五条の規定により金融機関が指定されている場合においては、政令の定めるところにより、口座振替の方法により、又は証券をもつて納付することができる。
4〜7 (略)