自治体法務の備忘録

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法律を読むセンスの磨き方・伸ばし方

元法制局キャリアが教える 法律を読むセンスの磨き方・伸ばし方

元法制局キャリアが教える 法律を読むセンスの磨き方・伸ばし方

 大きな書店では、今でも平積みされている「法律を読む技術・学ぶ技術」の待望の続刊が刊行されました。
 前作は、法規担当に赴任して右も左も分からない私自身にとって、ユーモラスな例えを交えた解説がわかりやすく、法律という「心理的に高い壁」を乗り越える大きな支えになりました。

私「最高裁は、あのサルバライ事件の判例で……」
教授「君、それは、サルフツ事件と読むのです」
(55ページ)

なんて、良く書いてくれた!と思います。
 初歩的な法令用語や憲法民法行政法などの入門的な解説が中心であった前作に比べ、今回はもう一歩踏み込んだ解説が展開されています。でも、相変わらずの「吉田節」に、読む負担は全く感じません。

 兄弟でうまくとんかつが分けられない場合には、兄弟げんかのもととなったり、平等に分けられなかった親への恨みや不信が残るものですが、実質的平等が図られない国では、やはり国がうまく治まらなかったり、政府に対する不信が生まれたりするはずです。
(119ページ)

 上記は兄弟で1枚のとんかつを分ける場合、どのように分けるのが「公平」か、という書き出しからはじまり、平等を実現するための法的手段を論じるまでの展開の一部です。
 前作に比べ踏み込んだ用語解説や法体系の説明、条文の読み方で浮かび上がるのは「法的なものの考え方」です。そしてそれが、リーガルマインドを手にするための端緒であることは言うまでもありません。
 著者は「まえがき」で次のように記述します。

 この本はリーガルマインドを身につけるためのセンスの磨き方と伸ばし方を伝える本です。リーガルマインドが身につけば、ものごとを筋道立てて考えることができるようになります。多くの人に受け入れられる形でトラブルの解決策を示すこともできます。未知の法律についても、すぐにその本質を見抜くことができるようになります。
(4ページ)

 こうなると3部作として次が楽しみになりますが、今度は、10年は待ちたくないですね(^^