自治体法務の備忘録

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特別法の探し方

 法律には、ご承知のように「一般法」と「特別法」があります。よく例に挙げられるのが「民法」と「商法」の関係ですね。商法は商行為における取引等について、民法に優先する規定が設けられているわけです。
 さて、私たちが行う行政の仕事には、特別法に基づく仕事が少なくありません。行政行為の根拠となる個別法には、それぞれ特例的な規定があるからです。
 櫻井敬子教授(学習院大学)は、次のようにおっしゃっています。

実際に行政を担当している公務員も、自分の担当事務にかかわる法律について詳しいのはあたり前ですが、隣の課の仕事となるともうサッパリ、ということが少なくありません。現代においては、行政事務の範囲はそれだけ膨大で、煩雑で、しかも専門的なのです。
行政法のエッセンス」学陽書房(11ページ)

 個別の業務執行に際しては、各法の執行マニュアルや逐条解説があるわけですが、これに俯瞰的に対処しなければいけない弁護士の方は、どのように特別法の存在を知るのでしょうか。疑問に思って、千葉県流山市政策法務室長を務められる帖佐直美弁護士に伺ったことがあります。

  • 特別法の存在は気がつきにくいが、模範六法が参考になる。
  • 模範六法に掲載された判例の引用から特別法の存在を知ることは多い。
  • それでも原課の方に教えていただく機会が多いのですけれどね。

 うーむ、なるほど。
 一方で、職員は与えられた仕事を遂行する限りは、与えられた「蛸壺」の範囲に理解が留まるおそれがあるとも言えます。俯瞰的な視点を得るためには、やはり、幅広い法知識が欠かせません。