自治体法務の備忘録

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国地方係争委員会に審査申し出へ=北陸新幹線追加工事認可で−新潟県

 北陸新幹線(長野−金沢)追加工事の認可をめぐり、新潟県が国地方係争処理委員会に審査申し出を行う方針を固めたことが5日、分かった。総務省によると、地方自治体の申し出は、2001年の横浜市に続き2例目。
http://www.jiji.com/jc/c?g=eco_30&k=2009110600034

 総務省のサイトにも、以下のとおり報道資料として掲載されています。

 本日、新潟県知事から、独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構に対する、北陸新幹線長野・上越(仮称)間、上越(仮称)・富山間、富山・金沢間工事実施計画(その2)の認可について、国地方係争処理委員会に対し、国土交通大臣を相手方として、審査の申出がありましたので、お知らせいたします。
http://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/02gyosei01_000012.html

 上記の記事における横浜市の先例とは、ご存じの方もいらっしゃるでしょうが、「勝馬投票券発売税」に対する総務大臣の不同意に関する審査です。

地方自治法
(審査及び勧告)
第二百五十条の十四 委員会は、自治事務に関する国の関与について前条第一項の規定による審査の申出があつた場合においては、審査を行い、相手方である国の行政庁の行つた国の関与が違法でなく、かつ、普通地方公共団体の自主性及び自立性を尊重する観点から不当でないと認めるときは、理由を付してその旨を当該審査の申出をした普通地方公共団体の長その他の執行機関及び当該国の行政庁に通知するとともに、これを公表し、当該国の行政庁の行つた国の関与が違法又は普通地方公共団体の自主性及び自立性を尊重する観点から不当であると認めるときは、当該国の行政庁に対し、理由を付し、かつ、期間を示して、必要な措置を講ずべきことを勧告するとともに、当該勧告の内容を当該普通地方公共団体の長その他の執行機関に通知し、かつ、これを公表しなければならない。
2 委員会は、法定受託事務に関する国の関与について前条第一項の規定による審査の申出があつた場合においては、審査を行い、相手方である国の行政庁の行つた国の関与が違法でないと認めるときは、理由を付してその旨を当該審査の申出をした普通地方公共団体の長その他の執行機関及び当該国の行政庁に通知するとともに、これを公表し、当該国の行政庁の行つた国の関与が違法であると認めるときは、当該国の行政庁に対し、理由を付し、かつ、期間を示して、必要な措置を講ずべきことを勧告するとともに、当該勧告の内容を当該普通地方公共団体の長その他の執行機関に通知し、かつ、これを公表しなければならない。
3 委員会は、前条第二項の規定による審査の申出があつた場合においては、審査を行い、当該審査の申出に理由がないと認めるときは、理由を付してその旨を当該審査の申出をした普通地方公共団体の長その他の執行機関及び相手方である国の行政庁に通知するとともに、これを公表し、当該審査の申出に理由があると認めるときは、当該国の行政庁に対し、理由を付し、かつ、期間を示して、必要な措置を講ずべきことを勧告するとともに、当該勧告の内容を当該普通地方公共団体の長その他の執行機関に通知し、かつ、これを公表しなければならない。
4 委員会は、前条第三項の規定による審査の申出があつたときは、当該審査の申出に係る協議について当該協議に係る普通地方公共団体がその義務を果たしているかどうかを審査し、理由を付してその結果を当該審査の申出をした普通地方公共団体の長その他の執行機関及び相手方である国の行政庁に通知するとともに、これを公表しなければならない。
5 前各項の規定による審査及び勧告は、審査の申出があつた日から九十日以内に行わなければならない。

 個人的に疑問なのは、国地方係争処理委員会は、国の関与に対して普通地方公共団体の自主性及び自立性を尊重する観点から審査を行うものであるわけで、今回の事例は横浜市の例とは異なるのではないか、という点です。行政訴訟の対象としての検討はされ得なかったのでしょうか。
 いずれにせよ、報道機関の方に聞いたところでは、ここしばらく物置や会議室になっているという、総務省の8階にある国地方係争処理委員会の部屋(http://d.hatena.ne.jp/kei-zu/20090309/p1)は、久しぶりの片付けとなりそうですね。
【09.07.08追記】
 自治体法務に関するメーリングリストで、審査申出書が県のサイトに掲載されていることを教えていただきました。

北陸新幹線長野・金沢間工事実施計画(その2)の認可に関する国地方係争処理委員会への審査申出書の提出について】
本日(11/6)、北陸新幹線長野・金沢間工事実施計画(その2)の認可に関して、地方自治法第250条の13第1項の規定に基づき、国地方係争処理委員会に対して、審査申出書を提出しました。
http://www.pref.niigata.lg.jp/koutsuseisaku/1257451473067.html

 この度の国交省の認可が県あてではないことについては、審査申出書の結びに以下のように記述がありました。

 なお、本件認可は、国土交通大臣から機構に対するものではあるが、これまで述べてきたように、本件認可により新潟県に多大な不利益を及ぼすことになること、並びに、新潟県が国の機構に対する認可の無効を求める機関争訟の手続としては貴委員会への審査の申出以外には適当な救済の道が開かれていない状況を斟酌の上、貴委員会にて審査を進めていたただくようお願いしたい。
 以上の趣旨をご賢察いただき、地方分権を進展させるべく、幅広い議論のうえ、結論を出されるようお願いしたい。
http://www.pref.niigata.lg.jp/HTML_Simple/moushidesyo.pdf