行政法ガール
- 作者: 大島義則
- 出版社/メーカー: 法律文化社
- 発売日: 2014/07/23
- メディア: 単行本
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取っ付きやすそうなタイトルですが、内容は平成18年度から25年度までの司法試験の解説です。
「小僧−そこまでほざくならば、覚悟はあるのだろうな。死ぬ覚悟が。(略)」
「……そ、それでシエルさんを、取り戻せるのなら。その可能性があるなら」
「その意気やよし。ならば、キサマがシエルとやらから教わった力を見せてみろ。平成22年の公法系第2問は覚えているな?」
(157ページ)※強調はkei-zuによる。
正気かよ、と思いますが(褒めてる)、上記のような展開から司法試験の過去問題について検討が行われるのです。
「微妙という答え方はなんだ? 時系列的に考えれば、提訴時から口頭弁論終結時までのどの時点で『住民』要件を満たしているかが問題だが、(以下略)」
(168ページ)
これは、住民訴訟の原告適格について、事例中の要件を「微妙」と答えてしまった主人公に対し、魔王が鋭く畳み掛ける一節です。
最初は「まんが○○入門」が専門的な解説をフキダシの中に押し込めるような構成かと思いましたが、違っていました。物事を論理的に考える際は、「セルフ突っ込みする自分」を置いて、客観的な判断に穴がないか検討しますよね(え、俺だけ?)。そのような思考過程が、この本では形を変えて構成されているのです*1。
各問題自体は、前提条件が多様で行政側の手落ちも少なからずあったり、実務に直結するものではありません。とはいえ、法的な課題解決のトレーニングはパズルを解くようにおもしろいはずですので、ご興味がある方は内容を確認されてください。
*1:会話の相手が女の子であるのも、口調で話者を明確にし、会話のテンポをよくする工夫であるのだと思います。