自治体法務の備忘録

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「財政調整基金って内部留保なの?」ちょっと違います

「財政調整基金って内部留保なの?」と聞かれ、「ちょっと違います」と答えたことがあります。

私「どちらかと言うと「車間距離」」

相手「?」

私「歳入と歳出は、同額でなければいけない。歳出は支出の上限なので、原則として自治体の決算は黒字になるはずです。ただし、予算の編成において収入に不足が生じる場合は、不足分を穴埋めするために基金が使用されます。

 もちろん、結果として黒字になった分を基金に積んでプラマイゼロにできればいいんですが、収入が減少傾向にある場合、年ごとに基金が目減りする事になる」

相手「中長期的には、結果として内部留保として使用されていると考えてよいのかな?」

私「うーん。そもそも収入が減れば、税率を上げるなどして収入を増やすか、支出を見直して健全な財政運営を検討しなければいけないわけです。いくつかの例外があるとはいえ、年度内で収支の帳尻を合わせるのが「会計年度独立の原則」の考え方ですから」

相手「ふーん」

私「ということから、財政調整基金は、単年度予算主義において、毎年度、予算編成を「安全に」編成するための車間距離と言えるわけです」

相手「財政調整基金に、適正な額ってあるの?」

私「いくらあればよいか、というのは難しい議論でねえ。国には「自治体は、貯め込んでいる」とする意見もありますが、自治体には「三位一体の改革」で、歳入の大きな柱である地方交付税を大幅に削られた経験があるのです。

 また、本来であれば普通交付税とされるべき収入が臨時財政対策債に振り替えられ、将来的な収入の不安が慢性的に生じている現状があります」