自治体法務の備忘録

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メイキング・オブ・「公務員の仕事の授業」(1)喫茶店編

 12月10日発売の「公務員の仕事の授業」、今回から何回かに分けて、舞台裏をご紹介させていただきます。

 今回は、「喫茶店編」です。

 この度は、米津孝成さんを共著者に迎えての共同執筆でした。メールなど電子機器を使用した情報の交換は密接に行いましたが、細かなニュアンスのやり取りとなると、面と向かっての打ち合わせがやはり必要です。

 退勤後、双方の勤務場所から無理のない範囲でということで、よく利用したのが、八幡の「Cafe 蛍明舎」です。

 まあ、リンク先のフォトジェニックな店内の様子をご覧になってくださいな。

 編集者さんも含めての打ち合わせでは、「著者紹介は、この素敵な店内で撮った写真を載せましょうか」なんて話していました。

 ちょっと脱線すると、結局写真は、装丁の準備の際に、編集者さんから求められてバタバタとFacebookに掲載のものを送りました。一方の米津さんは、ちょっと構えた素敵な写真を準備されていて、 なんかちょっとズルい。

 私が足を伸ばしにくいときは、船橋の「星乃珈琲店」を利用しました。

 船橋東武百貨店は駅に直結で、ほぼフロアごとに喫茶店があるのですが、その中でも星乃珈琲店は終業時間が遅く、仕事帰りの打ち合わせに重宝しました。

 いずれのお店の打ち合わせでも、コーヒーと一緒にケーキをいただきました。頭使うと、糖分がおいしいよね。

  本書は、何より「読みやすく、わかりやすく」を心掛けています。読者の皆さんも、コーヒーを味わいながらページをめくっていただけたらと思います(^^

疑問をほどいて失敗をなくす 公務員の仕事の授業

疑問をほどいて失敗をなくす 公務員の仕事の授業

 

 

「マンガでわかる! 自治体予算のリアル」

マンガでわかる! 自治体予算のリアル

マンガでわかる! 自治体予算のリアル

 本書のタイトルに「リアル」とあります。自治体の職員にとって、財政部門は「怖い」存在である一方で、予算が担う役割については「ちょっとわかりにくいな」と思われることもあるのではないでしょうか。
 本書の執筆者は、本文とマンガともに現役の自治体職員であり、庁内の緊張関係はご存じで、誇張されてはいるもののマンガ部分の記述には「あー、わかる」と登場人物に親近感を持たれるかと思います。
 
 「マンガでわかる!」という構成は、実は難しくて、下手をするとマンガの中の吹き出しにびっしりと説明セリフが並ぶものになりかねません。
 一方で、文章による解説の導入としてマンガが置かれる本書のような形式もありますが、本書の興味深いところは、マンガ部分と本文の「噛み合い」にあります。
 マンガの中で、市長の公約である「子ども医療費の助成」への財源ねん出についてドラマチックな展開がある一方、本文では、想定しうるその効果に比して「際限のない自治体間競争が始まっている」と提示する多面的な視点に、視界を広げられる思いがします。
 
 本書のクライマックス、市の一大イベントである花火大会では、それまでのドラマで緊張関係も生じた登場人物たちが、夜空に広がる大輪の花火を見上げます。
「市民の笑顔が間近だ。人の笑顔が仕事の喜びになるっていうのは、原点だな」
 正直、ちょっとウルっと来ましたよ。
 
 最後に、来年度予算の編成に向けたこの時期、本文の執筆者である定野司さんの文章を引用しましょう。

「要求なきところに査定なし」とは、「事業課の熱意が感じられないようでは、とても予算はつけられませんよ」という財政課の気持ちを表現したものです。それは同時に、「予算をつけると査定したからには、事業課にかわって財政課が、唯一の予算編成権者である首長に掛け合いますよ」という決意の表れでもあるのです。
(156頁)

 さあ、年度も佳境に入ります。

「Q&Aでわかる業種別法務 自治体」

 中央経済社からの新刊。弁護士向けの業種別解説シリーズです。

自治体 (【Q&Aでわかる業種別法務】)

自治体 (【Q&Aでわかる業種別法務】)

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: 中央経済社
  • 発売日: 2019/11/09
  • メディア: 単行本
 正直な話、自治体の業務は、福祉部門から土木部門など幅広い。また、法律に基づく行政処分(公権力の行使)だけではなく、私人としての立場で行う法律行為(契約や境界の確定など)も少なくありません。
 1冊にまとめる編者のご苦労はあったと思うのですが、1章〜3章「自治体の組織と職員」「自治体の事務一般に関わる事項」「個別の分野における法務」にまとめられた内容は、読者の理解の端緒となる事例が厳選されています。
 4章「自治体の争訟」では、法律に定める自治体の「特別なルール」が端的に説明されていますし(審査請求についての説明を含む)、5章「災害と自治体」の内容は、大規模な災害が少なくない近年において心強いことと思います。
 法制執務についても触れられていますが、限られた紙幅で細かい「お約束事」を網羅することはもとより不可能。ここでは、事例を端的に紹介しています。
 うまいなあと思ったのは、「又は」「若しくは」・「その他」「その他の」の使い分けや、技術的な改め文の構造について、この度の改正民法が題材とされている構成です。これなら弁護士である読者の皆さん、頭に入りやすいでしょうね。
 コラムで公務員の勤務関係について触れられるなど、「ここ知っといて」のポイントも抑えられています。

 民間労働者の雇用関係は契約(労働契約)に基づくものですが、自治体職員の勤務関係については、行政行為(公法上の行為)であると考えられています。(中略)そのため、自治体職員の勤務関係に関する相談を受けた場合は、地公法や各自治体の条例等を確認・検討した上で回答する必要があります。
(34ページ)

 お値段はちょっと張りますが、自治体の法規担当の本棚に置いても参考になる内容であると思います。
 なお、「条例の制定過程」の説明では、拙著『自治体の法規担当になったら読む本』を参考文献として挙げていただいております(123頁)。感謝<(_ _)>深く深く

140字で唸らせる「超文章塾」

 10月31日開催の「140字で唸らせる「超文章塾」」を聴講しました。

 講師のお二人の著作は、こちらです。

書くための勇気: 「見方」が変わる文章術

書くための勇気: 「見方」が変わる文章術

 
文芸オタクの私が教える バズる文章教室

文芸オタクの私が教える バズる文章教室

 

  「法律だの財政だの、ややこしいこと」をわかりやすく説明する本を出している身としては、気になるじゃありませんか。

 上記の「書くための勇気」は、読み進む中で気になったページを折っていったら、こんなになってしまった。私がこんなに読み込んでしまうのは、久しぶりのことです。

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 失敗したのは、直前の慌ただしさに事前課題を提出できなかったこと。そう、このセミナーでは、「最近読んだ「面白かった本・マンガ・雑誌」についての140字レビュー」を募集し、これに講師のお二人がコメントを加えるというのがメインイベントなのです。

三「紹介とレビューは、違う」

川「これからは、一万人の平均値より、個人の経験値が評価される方向に回帰するのでは」

三「ここいらないよな、という言葉はガンガン削る」「「ムダを削る」と「あえて加える」を意識的に使い分ける」

 いやあ、勉強になるなあ。

「ご批評のそれ、私が書いたんですが、わかりにくいですか」と場内から質問があり、そうか、書いた人間が会場にいるんだよね。そんな恐ろしい環境で、私は他人の文章にコメントはできないなあ(汗

 お二人の執筆は他にお仕事をされながらとのことで、気持ちの切り替えやモチベーションの維持についてのご発言も、やはり仕事の合間に執筆を進めるわが身にとって、とても参考になるものでした。

川「会社から帰宅後、毎日2時間は集中して執筆」「疲れていても、手は動く」

 うーむ、道は険しい。

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 終了後は、それぞれのご著書にサインをいただきました。わーい。

「地方自治体の財務の仕組み」@東京弁護士会館

 本日は、東京弁護士会館で「地方自治体の財務の仕組み」と題して、2時間お話しをさせていただきました。
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 自治体における予算の位置付け、編成過程、地方交付税地方財政計画、債権回収に関する課題など、駆け足ながらのご説明
 途中の質疑応答も盛んで、講師も楽しませていただきました(・∀・)
 昨年、一昨年の講師が地方議会運営の第一人者でいらっしゃる野村憲一さん

その前の講師が、吉田利宏さん(衆院法制局元参事)
元法制局キャリアが教える 法律を読む技術・学ぶ技術[改訂第3版]

元法制局キャリアが教える 法律を読む技術・学ぶ技術[改訂第3版]

と直前に聞いて、心理的なハードルがあがるあがる(^-^;)
 幸い、終了後の懇親会では、好意的なご意見いただけて何よりでありました。

Live! 政策法務 in 流山・成田

 決算審査も含めた秋の議会を終え、10月は研修講師のお声がかりを多くいただく時期です。
 10月2日は流山市役所で「政策法務入門」、4日は成田市役所で「政策法務と財務」と題して、それぞれお話しさせていただきました。
 いずれの市役所も研修にご熱心で、参加される方々も積極的な姿勢でいらっしゃったのが印象に残っています。
 今後の皆さんのお仕事に、講義の内容がいささかでもお役に立てたら幸いです。

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