「Q&Aでわかる業種別法務 自治体」
中央経済社からの新刊。弁護士向けの業種別解説シリーズです。
- 作者:
- 出版社/メーカー: 中央経済社
- 発売日: 2019/11/09
- メディア: 単行本
1冊にまとめる編者のご苦労はあったと思うのですが、1章〜3章「自治体の組織と職員」「自治体の事務一般に関わる事項」「個別の分野における法務」にまとめられた内容は、読者の理解の端緒となる事例が厳選されています。
4章「自治体の争訟」では、法律に定める自治体の「特別なルール」が端的に説明されていますし(審査請求についての説明を含む)、5章「災害と自治体」の内容は、大規模な災害が少なくない近年において心強いことと思います。
法制執務についても触れられていますが、限られた紙幅で細かい「お約束事」を網羅することはもとより不可能。ここでは、事例を端的に紹介しています。
うまいなあと思ったのは、「又は」「若しくは」・「その他」「その他の」の使い分けや、技術的な改め文の構造について、この度の改正民法が題材とされている構成です。これなら弁護士である読者の皆さん、頭に入りやすいでしょうね。
コラムで公務員の勤務関係について触れられるなど、「ここ知っといて」のポイントも抑えられています。
民間労働者の雇用関係は契約(労働契約)に基づくものですが、自治体職員の勤務関係については、行政行為(公法上の行為)であると考えられています。(中略)そのため、自治体職員の勤務関係に関する相談を受けた場合は、地公法や各自治体の条例等を確認・検討した上で回答する必要があります。
(34ページ)
お値段はちょっと張りますが、自治体の法規担当の本棚に置いても参考になる内容であると思います。
なお、「条例の制定過程」の説明では、拙著『自治体の法規担当になったら読む本』を参考文献として挙げていただいております(123頁)。感謝<(_ _)>深く深く