自治体法務の備忘録

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平成18年4月1日は土曜日です

 4月1日は土曜日ですが、契約日取扱いに予算の執行に係る問題もあり、事務屋としては、なかなか頭を悩ませます。
 このことについては、道外なのにお世話になりっぱなしの北海道町村会法務支援室に「4月1日が閉庁日の場合の契約締結事務について」として記事の掲載があります。(http://houmu.h-chosonkai.gr.jp/jireisyuu/kaitov06.htm
 上記の記事では、長期継続契約の運用についても記述がされていますが、4月1日を契約日とすることについて、以下のとおり、絶版図書からちょっと長めの記事を引用しましょう。

1 契約書の日付の記載方法
 民法の原則によれば、契約は相対立する2つ以上の石の合致によって成立するものですから、一方の申し込みに対して他方の承諾があれば、それによって契約は成立することになり、契約の効力の発生については何ら様式行為を必要としませんが、前述のとおり、地方自治法第234条条第5項は、契約書を作成する場合においては、地方公共団体の長又はその委任を受けた者が契約の相手方とともに契約書に記名押印しなければ当該契約は、確定しないものとする、とされています。したがって、業務委託契約などを締結する場合はに、予算や事務の都合によって、実際上4月1日に締結できないときに、相手方業者と話し合って、契約締結日を4月1日に遡及して、実際の契約確定日と異なる日付を記載することは許されないものと解されます。また、契約書の日付は、実際に契約書に記名押印する日にしておきながら、契約期間を定める条項において当該契約期間は、「4月1日から翌年3月31日まで」と記載することも許されないと解されます。
 現行の地方自治法の下においては、現実に契約書に記名押印して契約をした日をもって契約書の日付とすべきとされています。また、契約に基づく債権債務は、契約が成立して初めて成立するものですから、契約期間を4月1日に遡って定めることは、何ら実益がないものと解されます。ただ、4月1日から実際に契約書に記名押印した日までの間に行われた行為を追認するための条項を記載することが考えられ、これによって目的を達することができるものと解されます。

(1) 不適当な記載例
第○条 委託期間は、昭和61年4月1日から昭和62年3月31日までとする。
・・・(中 略)・・・
 昭和61年4月25日
             甲 ○○県
               代表者 氏    名 印
             乙 ○○ ○○

(2) 追認事項の記載例
第○条 昭和61年4月1日からこの契約が成立した時までの間に、甲が乙のために、甲の委託業務として行った行為は、この契約に基づき行った業務とみなすものとする。
・・・(中 略)・・・

 ただし、この場合においても、追認の対象となる期間においては、相手方に履行の請求を行うことはできません。
2 4月1日が日曜日となる場合
 年度の最初の日に当たる4月1日が、たまたま、日曜日になる場合があります。この場合においても、1で述べたように、4月2日以後に契約書に記名押印し、契約書中の日付を4月1日に遡及して記載することは適当でありません。
 4月1日から給付が開始される契約について、同日が日曜日である場合の取扱いについては、、日曜日は一般に「勤務を要しない日」ではありますが、日曜日においても、地方公共団体の法人としての行為能力がなくなるということはありません。よって、契約の履行に必要な期間からみて日曜日(休日)を契約日とすることが必要であれば、日曜日に契約担当職員が出勤して契約を締結し、当該日曜日を契約日とする場合も考えられます。
「地方行政 契約実務ハンドブック」渡辺孝司・著(ぎょうせい)52ページ