自治体法務の備忘録

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書類2000種 押印不要に 行政改革で千葉市が見直し 各種申請

 市民負担の軽減を目的に、市民から提出される申請書類について千葉市は、国の法令や通知による定めがない限り、押印を不要とするよう手続きを見直している。無駄を省く行政改革の一環。手続きは6月から順次変更し、来年4月には完了する予定。
http://www.chibanippo.co.jp/news/local/182147

 以前にも拙blogで書いたことがありますが(http://d.hatena.ne.jp/kei-zu/20060509/p2)、押印には慣例的に以下の機能を期待されているものであると考えられます。

  1. 権利義務関係を確認し、事後の紛争を避ける機能
  2. 印鑑を持っている人が本人だろうという身分証の機能
  3. 本人が強制されたのではなく、自ら文書の記載内容を理解し、同意していることを推定する機能

 また、記名押印と署名は、以下の法律でも相互に代替性をもっていますので、上記の「機能」の判断と併せ、「署名」をもって「押印」という「形式」にとらわれない運用も事案によっては可能でしょう。

民事訴訟法】
(文書の成立)
第228条 (略)
2〜3 (略)
4 私文書は、本人又はその代理人の署名又は押印があるときは、真正に成立したものと推定する。
5 (略)
(筆跡等の対照による証明)
第229条 文書の成立の真否は、筆跡又は印影の対照によっても、証明することができる。

 なお、今回の千葉市の試みの端緒となった印鑑の登録については、法律に根拠はないものの、その取扱について国から示された例に基づいて各自治体で条例を策定している経緯があります。
 印鑑証明書の重要性は論ずるまでもありませんから、本人確認の手段に関する慎重さについては、各自治体で実際の窓口状況を踏まえて判断されるべきかと考えます。