自治体法務の備忘録

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「政策法『無』」と「政『削』法務」

 さて、その静岡市政策法務推進計画に記載の内容から

 従来、日本の自治体では、「企画」及び「予算」の観点から政策の優先順位や採否の判断が行われてきたが、「法務」の観点からの検討が欠落しがちであった。
 しかしながら、分権改革や法化社会の到来を受けて、自治体の政策立案は、「政策法無」から「政策法務」に移行しなければ、実効性ある政策を推進することは不可能な状況となった。
 さらに、国の地方分権改革推進委員会では、条例の上書権等の自治立法の更なる強化に向けた検討がなされており、これらの動きに対しても適切に対応していかなければならない。
(略)

政策法「無」=政策が法務に優位
 政策的妥当性こそが重要であり、法的制約は乗り越えられるべき障害物となる。
政「削」法務=法務が政策に優位
 法的根拠こそが重要であり、それが政策的妥当性を伴うとは限らない。
(12ページ)

 「政策法『無』」と聞いたことはありましたが、「政『削』法務」とは初めて眼にしました。ひょっとしたら研究者の方からの指摘には既にあったものかもしれませんが。うまいことを言いますね。
 「『企画』及び『予算』の観点から…」のくだりは、まさにそのとおりで、自治体において「政策法務」という物言いの発生自体が、国と比して企画・予算部門に水を空けられた法制部門のルサンチマンの側面も、ひょっとしたらあったんじゃないかと密かに思うところではあるのですが、社会の法化が進むにつれての法制の充実と政策との連携の必要性については、当然の事ながら、何ら異存はありません。
 いずれにせよ参考になる資料で同様の検討を進めている自治体は分析が必要でしょう。