自治体法務の備忘録

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野球に例えると…

 こちらもtihoujitiさんがご掲載の記事から

政策法務における法規担当に役割について少し語ってしまった。】
ワタシ「政策法務おける法規担当の役割は、キャッチャーなんですよ。策定し、運用する側がピッチャーで、彼らが投げる球を受ける。投げる上では、ピッチャーといろいろサインを交わす。このボールなら打たれない、このボールなら打たれる、このボールは微妙だけどやってみるか、もっと落ち着けとか。あと、グラブが他とお揃いじゃないから代えろ、スパイクが古いから代えろ、グラウンドでは「です」「ます」は使うな、といった指摘も当然しますな。その後合意する。逆に、決してボールは投げない。」
相手方「じゃ、バッターは?」
ワタシ「もちろん、国の省庁。手に持つバットは、法律とか政令とか省令。打たれたら負け。例えば、『無期懲役』というボールを投げると、100%ホームランを打たれるでしょう。しかも特大の。ま、そんなボールは投げさせませんけど。投げさせたら即二軍。」
http://d.hatena.ne.jp/tihoujiti/20080306/p2

 なるほど。

相手方「じゃ、審判は?」

 そこに期待されるのは、本来、裁判所なんじゃないですかね。適法性の判断に係る権能は、中央省庁にもなく、本来は司法にしかない。
 ただ、上記の文章でtihoujitiさんは、地方分権を確立するための「対戦相手」として野球の相手チームに例えられているので、国民への影響に係る判断をも行うに当たる裁判所の役割は割愛されたのでしょうが。
 さて、以前に私は、自治体法制職員の政策法務への取組姿勢について、事業担当課の職員にロードマップを示す姿勢に例えたことがありますが、ここらへんの例えの違いは、個人の趣味の色合いが強いかも知れませんな。

法制執務担当の限界】
 旧来の「法制執務」と理論としての「政策法務」の断絶を実務で埋めていくことが、現在の私たちの責務ではないか、というのは、以前掲載したとおりですが、上記の意味で、法制執務担当は、(職務としての限界は自覚しながらも)気後れせずに「政策法務」論にたずさわっていくべき、と自分に言い聞かせているわけです。そのモチベーションから、振り落とされそうに感じる中かじりつくように、先端の「政策法務」論を吸収していきたいな、と。
 そして、法制執務担当課が担当課における政策法務を推進する手助けをするために、情報の提供や信頼関係の構築を行い、過日記載しましたところの法体系のロードマップの提示による問題解決方法の動機付けなど実施していきたい。
http://d.hatena.ne.jp/kei-zu/20050307/p1

 3年前書いた上記の私の文章を今読むと、なかなか気負っていて恥ずかしいものがありますが、政策法務論が広く語られ始めた当時において、自治体法制部門における警戒感に対して、研究者の方々からばかりではなく、現場の職員としての「言い分」を発信しておく必要性を強く感じたところによります。
 逆に言えば、わずか3年で、現場の自治体職員による政策法務論がかくも活況を呈している状況を喜ばしく思うとともに、ささやかながらウェブ上での議論の先駆けの一端を担えたことを嬉しく感じます。
 なお、上記の記事でtihoujitiさんも「法制執務」と「政策法務」について述べられていますが、

法制執務」が「知識」「技術」であるのに対し、「政策法務」は「動機」「行動」であると言える。
http://d.hatena.ne.jp/keyword/%C0%AF%BA%F6%CB%A1%CC%B3

とは、私も人に聞かれた際には説明しているところです。