自治体法務の備忘録

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「政治」とは何か

 夏の参院選を控えて政策議論も活発になってきたようでありますが、「政策法務」の語に見られるように、分権下の自治体で私たちが携わる法務にも今や「政策」が大きくかかわり、(批判的な意見はありましょうが)そこには「政治」に基づき議論されるべき局面があります。
 では、「政治」とは何でしょうか?
 数年前、横須賀市自治体学会の大会があった際、懇親会で政治学者の方(ご迷惑かとも思い、ここではお名前は伏せさせていただきます)に「『政治』となんぞや」と酔った勢いで尋ねてしまったことがあります。自分の不勉強が明らかになる恥ずかしさよりも、「政策法務」に日々葛藤する自治体法務担当としての思いが口を開かせてしまいました。
私「議会内閣制と大統領制の比較の他にも、時代や地域によって様々な『政治』の形態があるでしょう。『民主主義』を達成しようとする手法にも、いろいろ議論がある。政治学で明らかにしようとする『政治』とは、いったい何なんでしょうか?」
 知らない方が多い会合で存じ上げているお顔を見つけて、思わずなれなれしくなった私の失礼な質問に、先生は丁寧に答えてくださいました。
先生「『政治』とはね、つまるところ『異質なものの共存』だと思うよ」
私「え?」
 いささか虚を突かれました。
先生「いろいろな境遇、立場や考え方に人たちがいる。その人達が一緒にいる、生活する、その場面に『政治』は発生するんだよ」
私「それが『異質なものの共存』ですか…」
先生「確かにね、例えば、議会内閣制の運営のためにはどのような手法が良いだろうか、そういう研究をしている人もいる。だけどね、その『政治』としての本質を、政治学者はどんな研究の中でも忘れちゃいけないと僕は思ってるんだよ」
私「なるほど」
先生「『政策法務』に僕が政治学者として興味を持つのは、『異質なものの共存』という『政治』の本質によるところが大きい。それは行政法学者とは違ったアプローチなんじゃないかな」
 実務屋が思わず口に出します。
私「私が現場で葛藤する『政策法務』は、立法や解釈の際は『世間の相場感』を探る局面が有り、訟務の際は『ぶっちゃけどうよ』で戦っていく局面が有ります」
先生「うん、そこには『異質なものの共存』があるんじゃないかい?」
 うーん。
 「政治」に翻弄される「政策法務」というとあまり良くは聞こえませんが、政策法務が内包する「政治」の意味と可能性を示していただいて発想の幅が広がった記憶があります。
 なお、これは余談ですが、帰りの中華街でお土産に買ったライチ茶とマンゴープリンの美味しかったこと!