自治体法務の備忘録

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【訃報】杉山富昭さん

 尼崎市の杉山富昭さんの訃報に接しました。27日のご逝去で、享年47歳とのこと。
 体調を崩されたとのご連絡をいただいてからも、ご快癒の兆しの報に安堵することもあったのですが、誠に残念です。
 現役の自治体職員でありながら、その旺盛なご活動で、生前は全国の自治体法務を牽引してくださいました。特に一昨年開催された、自治体法務合同研究会のおおさか大会では、中心的な役割でご活躍されたと伺っております。
 上記の大会では、恐縮にもお手伝いのお誘いをいただいていたものの、所用で実現できず、お詫びの意味も含めていつか義理を果たさなければと思っていたのですが、とうとう叶いませんでした。
 氏の初めてのご著書である「交渉する自治体職員」によれば、01年6月から開始されたサイト「自治政策法務研究室(http://hccweb1.bai.ne.jp/~hcl45701/)」を契機として、研究活動を広く展開されてきたということで、ひょっとしたらご自身に似た境遇を私に感じてくださっていたのかもしれません。残念です。
 近年は、

政策法務事典

政策法務事典

にご執筆のほか、単著としても
自治体職員のための政策法務入門 3 福祉課の巻 保育所民営化が住民の大反対にあったとき

自治体職員のための政策法務入門 3 福祉課の巻 保育所民営化が住民の大反対にあったとき

をご執筆され、ますますのご活躍を期待するところであったのですが、運命の残酷さに言葉がありません。
 01年に解説された氏の上記サイトは分権後の自治体と歩みを供にしますが、ご自身の研究は、何より自治体職員自身による政策法務の実践を訴えるものであったように思います。そのことは初めてのご著書の書名である「交渉する自治体職員」にも現れていると言ってもよいでしょう。
 同書の「はじめに」に記述された氏のお言葉を引用させていただきます。

 「交渉する自治体職員」というのは、自治体現場における政策法務の重要性を主張する立場から、一つのあるべき自治体職員の姿を表現したものです。すなわち、自治体現場での政策法務とは、法的課題に直面した職員が、その解決に向けて様々な交渉を繰り返し、試行錯誤と悪戦苦闘を繰り返しながらも、地域の特殊事情に適合した法環境の創出にむけてまい進する、積極的で活動的な姿を表現したものです。
(略)
 自治体現場の職員が政策法務に対する理解と認識を高めなければ、いつまで経っても組織内部に政策法務は浸透しないし、地域の特殊事情に適合した法環境の創出を実現することはできないと考えています。そのため、本書では、日頃は法律体系書などを読む機会が少ない、末端組織で日々奮闘している自治体職員を主たる読者に想定しています。自治体現場の政策法務に対する関心が少しでも広まれば、幸いです。

 氏から受け取ったバトンは、私たち現場の自治体職員が形にしていかなければいけません。
 どうぞ今は安らかにお休みください。そして天国から、ひいきの野球チームにくらべればささやかでよいですから、私たちへの応援もよろしくお願いします。