自治体法務の備忘録

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住民からの「ふるさと納税」

 いわゆる「ふるさと納税」が寄附控除制度であることは、拙blogをご覧の方であればご存知でしょう。
私「ふるさと納税が寄附控除なんじゃ、住民からの歳入は、税か寄附金かの違いで自治体には意味がないんじゃないの?」
後輩「いやいや、控除された分は税の減少になるでしょ。基準財政収入額の低下は、交付税に反映されるじゃないですか」
 なるほど。以下は、制度導入時の検討内容です。

ふるさと納税研究会報告書】
 現行の地方交付税制度のもとでは、地方団体が寄附金を受けても当該地方団体の地方交付税が減少することはなく、また、寄附者の住所地の地方団体においては、個人住民税減少分の75%は基準財政収入額に反映される。
(21ページ)
http://www.soumu.go.jp/main_sosiki/kenkyu/furusato_tax/pdf/houkokusyo.pdf

 つまり、税収の25%は留保財源ですので、税収から寄附金へキャッシュが移動しても、その75%は交付税算定されるわけです。
私「なんだか妙な気もするね」
後輩「そもそも、A市の住民がB市に『ふるさと納税』した場合でも、A市の歳入が極端に減少するのを防ごうとするのが意図です」
私「『ふるさと納税』とはいっても、住民としての受益性から見れば『納税』先を変えることが出来ないのは道理だものね。であれば、本来の納税先であるA市の歳入は確保されなければいけないわけだ」
 ふるさと納税の最近の動向については、washitaさんがまとめられています→http://d.hatena.ne.jp/washita/searchdiary?word=%2A%5B%A4%D5%A4%EB%C0%C7%5D
 上記を踏まえれば、それぞれの自治体の工夫も興味深く思えます。