自治体法務の備忘録

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有力議員の法人に委任 さいたま市の施設

 地方自治総合研究所の三野靖研究員も「同制度は行政処分であるゆえに、自治法の契約条項にあたらないという見解は、必ずしも妥当ではない。兼業禁止規定は自治体が独自に条例で定めればいいことだ」と指摘する。
 実際、埼玉県和光市では、議員だけでなく首長ら三役、監査委員、教育委員会委員に至るまで兼業禁止規定を条例で定めており、同市の担当者は「私どもは制度が違っても、従来の管理委託制度の契約と類似していると考え、業務委託が単年度なのに対し、指定管理者の指定期間に制限がないことから、独自に条例で兼業禁止規定を盛り込んだ」と説明する。
http://www.tokyo-np.co.jp/00/tokuho/20050501/mng_____tokuho__000.shtml

 赤字を出してでも議員が経営するのでは、たとえ動機が高邁なものであろうとも、票田の確保と勘ぐられるものでありましょう。
 和光市の条例を見てみましょう。

和光市公の施設に係る指定管理者の指定手続等に関する条例】
(選定方法及び選定基準)
第4条 市長は、前条の規定による申請があったときは、次の各号のいずれにも該当するもののうちから最も適当と認める団体を指定管理者の候補者として選定するものとする。
(1) (略)
(2) (略)
(3) (略)
(4) 市長、助役、収入役、法第180条の5の規定により市に設置する委員会の委員若しくは委員(以下この号において「市長等」という。)又は議員が、市に対し主として指定管理者の業務及び請負をする法人(市長等の場合にあっては、市が資本金、基本金その他これに準ずるものの2分の1以上を出資している法人を除く。)の無限責任社員、取締役、執行役若しくは監査役又はこれらに準ずべき者、支配人及び精算人である法人でないこと。
(5) (略)
http://www.city.wako.saitama.jp/reiki_int/reiki_honbun/e3300479001.html

 この点

指定管理者制度―自治体施設を条例で変える

指定管理者制度―自治体施設を条例で変える

では、次のように記載されています。

 また、請負にも該当しないため地方自治法条の兼業禁止規定(第92条の2、第142条、第180条の5第6項)も適用されない。この点については、総務省の解説でも指摘されているところであり、首長や議からの影響力を排除し、政治的中立性を確保するためにも条例による規制が必要である。
(28頁)

 自治体のよっては、上記の地方自治体の規定を準用する旨の規定ぶりをしているところもあります。

青梅市公の施設の指定管理者の指定の手続等に関する条例】
(兼業の禁止)
第11条 法第92条の2、第142条(法第166条第2項および第168条第7項において準用する場合を含む。)および第180条の5第6項の規定は、指定管理者について準用する。この場合において、法第92条の2および第142条中「当該普通地方公共団体に対し請負をする者及びその支配人又は主として同一の行為をする法人」とあるのは「指定管理者」と、第180条の5第6項中「当該普通地方公共団体に対しその職務に関し請負をする者及びその支配人又は主として同一の行為をする法人」とあるのは「その職務に関する公の施設の指定管理者」と読み替えるものとする。
例規集のトップはhttp://www.city.ome.tokyo.jp/d1w_reiki/reiki.html