自治体法務の備忘録

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氏名公表の実例

 行政上の制裁としての「氏名公表」については、既に何度か掲載させて頂いています。

行政法学において「公表」についても行政救済のレールに乗せられるような理論構成ができない限りは、具体的な「公表」の実施に当たって、現状においては「情報の提供」としての説明しか行えないのではないか。
http://d.hatena.ne.jp/kei-zu/20070130/p3

 前述のとおり「自治体法務Wiki」の記事を整理させていただくに当たって、「公表制度について」(http://wiki.fdiary.net/jichitaihoumu/?%B8%F8%C9%BD%C0%A9%C5%D9%A4%CB%A4%C4%A4%A4%A4%C6)にいささか記事を付記させていただく中に東京都における2年前の実例を掲載しました。

【報道発表資料】不適正な取引行為の疑いのある結婚相手紹介サービス業者が都による調査を拒否したので事業者名を公表します
 東京都ではこれまで、不適正な取引行為が行われている疑いのある事業者に対し、特定商取引に関する法律第66条及び東京都消費生活条例(以下「条例」)第46条により報告徴収を求め、必要であれば指導を実施しています。
 今回、再三にわたる報告要求に従わない事業者に対し、条例第50条の規定に基づき、事業者名等を公表することになりました。なお、明日9月16日付東京都公報にも登載されます。
 こうした調査拒否による事業者名公表は、全国でも初めてとなります。
http://www.metro.tokyo.jp/INET/OSHIRASE/2005/09/20f9f100.htm

 公表の形式や、そこに至るまでの経緯など非常に参考になります。
 なお、経緯の掲載において都が「立入調査を拒否すると法による罰則規定若しくは条例による氏名公表があること」を伝えたのに対して

そんなことできるはずがない。来られるものなら今すぐ来てみろ。来たら警察に電話してやる。

という応答がなんとも。
 この「公表」自体は、前述の私の指摘の通り、単なる懲罰的というよりは、消費生活条例という条例の性格からも、やはり不適正事業者に関する周知としての取り扱いであろうと思われます。