自治体法務の備忘録

管理人のTwitterは、@keizu4080

pdfファイルを参考にした例規の作成のしかた

 この週末は、出勤されて給与条例を書かれていらっしゃる方も多いのではないでしょうか。
 OA化が推進された現在、ワープロソフトで原議を書かれている方がほとんどだと思いますが、そのようなご時世では機械の習熟が効率の善し悪しに影響します。
 2年前の公務員の給与制度改正の際に、北海道町村会法務支援室のサイトには以下のようなトップ文章が掲載されました。

 現在、私の町では給与制度改革の条例改正に取り組んでいます。これだけ複雑な条例規則でありながら今回の給与改定では、国から参考例が示されませんでした。今回の改正作業は、担当する職員にとって法制執務の技術を習得するための良い機会だといえるでしょう。
(略)
 これらの作業を行う上で共通しているのは、改正文を作成する技術とワープロソフトを使いこなす技術については、ある程度前提となるということです。改正文を作成することは、改正文の原則とその例外の文法を機械的に当てはめていくという、パターンとリズムの作業です。

 ここでは、11月2日に国会に提出された、このたびの「一般職の職員の給与に関する法律等の一部を改正する法律案」を例にとって、pdfファイルから条例案を効率的に作成する方法をご参考までに書き留めておきましょう。
 法案の内容は、衆議院のサイトにはまだ掲載されていませんが、総務省のサイトには既にアップされています。
【国会提出法案】http://www.soumu.go.jp/menu_04/k_houan.html
 なお、画像を使った説明は割愛させていただきますので、説明不足で不明な点は、誠に申し訳ないですが、お近くの「ちょっと詳しい人」に聞いてみてください。
(1)pdfファイルのwordファイル化

  1. 「法律案・理由」(http://www.soumu.go.jp/menu_04/pdf/168_071102_03.pdf)をダウンロードする。
  2. Acrbat Readerの「テキスト選択ツール」を選択し、右クリック「すべてを選択(L)」から、掲載内容のすべてを選択する。(画面上の文字が反転します。)
  3. 右クリックで「クリップボードにコピー(C)」を選択する。
  4. デスクトップ上に「新規テキスト ドキュメント」(.txt)を作成し、そこにコピーした内容を貼り付ける。
  5. 「新規テキスト ドキュメント」の内容を、今度は自治体で使用する原議の所定の様式にコピーする。(コピーの経過にテキストを介すのは、余計な書式を排除するため)
  6. 改行、インデントなどの体裁を整える。
  7. これで法案の内容がwordファイル化されました。

(2)条例案の作成

  1. 横書きの自治体は適宜記載の内容を整える。(洋々亭さんが公開している、マクロの利用が便利です→http://www.hi-ho.ne.jp/tomita/tips/tips_wd_001.html
  2. Microsoft Wordの「変更履歴の記録(T)」を利用して、改正箇所を上書きしていく。(「チェック/コメント」のツールバーを画面上に表示して利用すると便利です。)
  3. とりあえず、専門スタッフ性について規定された条項を削除し、あとは自治体ごとの条例構成に併せて適宜修正していく。

 こうしていくと、国と自治体の運用の違いが立体的に見えて便利です。修正箇所の表示・非表示は、「表示(V)」の「変更履歴(A)」で切り替えられますが、「チェック/コメント」のツールバーを表示していれば、「(変更箇所/コメントの表示)」の選択で表示を切り替えられます。
 なお、私がMicrosoft Wordの「変更履歴」機能を使うと現課の方からよく聞かれるのが、修正内容を反映するのにはどうしたらよいのか、ということですが、「ドキュメント内のすべての変更を反映(H)」することにより、修正内容が「溶け込み」ます。
 この方法は、また、pdfファイルで示された準則に倣った例規を作成する際にも利用できます。
 私自身がパソコンに習熟した人間ではないので、もっと効率のよい方法があればご指摘頂けたら幸いです。
 上記の法務支援室の記事を紹介させていただいた際に、

法制執務研修においては、法体系や『及び』『又は』の語句の説明以上に、電子版の法令集例規集やツールとしてのパソコンの使用方法を講義するべきでは

と庁内の美女に指摘された旨を掲載せていただきましたが(http://d.hatena.ne.jp/kei-zu/20060224/p2)、法制執務において機械の習熟が必須になっている現状を思い知らされます。