続・「ワークブック法制執務」と「法制執務詳解」
以前に掲載しました「法制執務ワークブック」の改訂について(http://d.hatena.ne.jp/kei-zu/20071126/p1)、tihoujitiさんが改訂版をご覧になった様子。
削られた問は、はっきり言って自治体職員には関係ない。
加わった問は、自治体職員にとっても非常にありがたい内容ですね。
あとページ数の増減については旧705ページ
新799ページとなっており、100ページほど増量。
1ページ当たりの行数・ 文字数は変わっていないので、全体的にボリュームが増えた。新問43で、パブリックコメントについて(少しではあるが)言及されるなど、問は変わらないが、その中身は充実したものとなっているのだろう。
http://d.hatena.ne.jp/tihoujiti/20071203/p1
それにしても
いずれにせよ「ホーセーシツマー」にとっては必携の本であろう。
ワロタ
さて、上記の「法制執務ワークブック」については、私が以前の記事で「自治立法実務のための法制執務詳解」との比較の上で
同僚「『ワークブック』って、調べたいことがあっても引きにくいじゃないですか。国で、法令改正の初心者の人は、どうやって改め文を書くんですかね」
私「うーん、『ワークブック』を見ながらとりあえず書き上げて、先輩にガシガシ修正を受けるOJTなのかなあ」
http://d.hatena.ne.jp/kei-zu/20071128/p1
というやり取りを掲載したところ、ありがたいことに霞ヶ関の中の人のお立場からbewaadさんのご指摘が
霞が関での改め文の学び方は、たいていはOJTです。まったく条文作成の経験がない者が「ワークブック」を引きながら、ということではなく、自分が係長時代に補佐が書いた条文案の法制局審査に同席し、そこでのやりとりを聞きながら学んでいく、ということが多いように思います。補佐が教育的配慮に富んでいる場合は、「じゃあここの部分を書いてみて」と下請けに出して学ばせたりすることもあります。
http://bewaad.com/2007/11/28/346/
なるほど、まずOJTがあって、不明な箇所を法制局からの公式回答として確認する、という手順ですかね。
一方で、自治体においては、小さなところでは法制執務担当は一人、しかも、固定資産評価審査委員会やら選挙管理委員会の事務局員も併任している、という状況もあるところであり、必然として、「辞書代わりに引ける」実務性の高いものが要請されたことにから「法制執務詳解」が編纂されたというところでしょうか。
参考までに、手元にある過去の「法制執務詳解」の頁数を確認したところ、以下のようでありました。
- 初版(昭和58年3月30日)481頁
- 改訂版(平成6年12月3日)549頁
- 三訂版(平成12年4月28日)561頁
- 四訂版(平成16年6月30日)601頁
改訂のたびに内容が充実されてきていることが、ボリュームの変遷からうかがえます。
bewaadさんによると、
条例の事例を引いても内閣法制局では相手にしてもらえませんから(それどころか、法律であっても、議員立法のものは、それしか例がないような場合にのみやむなくという感じで、可能な限り内閣提出法案の事例を用いることが望ましいとされます)、「法制執務詳解」では実際に使える部分が限られるということでしょう。
ということで、法律案についても内閣提出法案を優先するまでの徹底ぶりは存じ上げませんでしたが、なるほど、「法制執務詳解」では「辞書代わりに引ける」編纂として、わずかに法律や政令でカバーできない事例について、やむを得す自治体条例を掲載しているということなのでしょう。
なお、数例の自治体条例があげられているとはいえ、同書に掲載された事例のほとんどは法律や政令であって(省令もあるけど)、その事例の豊富さや理解しやすい構成には、一法制執務担当として著者に感謝を禁じ得ません。