計画決定も「行政処分」とする最高裁判例見直しか
【区画整理、計画段階で提訴も…最高裁41年ぶり見直しか】
自治体が土地区画整理事業の計画を決定した直後に、計画内容を不服として住民が決定取り消しを求めることができるかどうかが争点となった行政訴訟の上告審で、最高裁第3小法廷(近藤崇晴裁判長)は5日、審理を15人の裁判官全員で構成する大法廷(裁判長・島田仁郎長官)に回付することを決めた。
大法廷回付により、計画決定段階で起こされた取り消し訴訟は審理の対象にはならないとする最高裁判例が、41年ぶりに見直される可能性が出てきた。
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20071205it05.htm?from=navr
【区画整理訴訟で大法廷回付=計画決定で判例見直しも−浜松の駅高架化事業・最高裁】
土地区画整理をめぐり、最高裁大法廷は1966年、事業計画決定は取り消しを求められる「行政庁の処分」に当たらないと判断。地権者は事業計画決定よりも後の移転先の指定段階にならないと訴えを起こせないとされてきた。
http://www.jiji.com/jc/c?g=eco&k=2007120500429
行政事件訴訟法の改正も背景にあるのでしょうが、前者の記事中に掲載のとおり、「計画決定段階から事業の是非について司法判断を求めることができるようになり、市街地再開発事業など他の都市計画事業にも影響を与え」る事態が想定されますね。
【行政事件訴訟法】
(原告適格)
第九条 処分の取消しの訴え及び裁決の取消しの訴え(以下「取消訴訟」という。)は、当該処分又は裁決の取消しを求めるにつき法律上の利益を有する者(処分又は裁決の効果が期間の経過その他の理由によりなくなつた後においてもなお処分又は裁決の取消しによつて回復すべき法律上の利益を有する者を含む。)に限り、提起することができる。
2 裁判所は、処分又は裁決の相手方以外の者について前項に規定する法律上の利益の有無を判断するに当たつては、当該処分又は裁決の根拠となる法令の規定の文言のみによることなく、当該法令の趣旨及び目的並びに当該処分において考慮されるべき利益の内容及び性質を考慮するものとする。この場合において、当該法令の趣旨及び目的を考慮するに当たつては、当該法令と目的を共通にする関係法令があるときはその趣旨及び目的をも参酌するものとし、当該利益の内容及び性質を考慮するに当たつては、当該処分又は裁決がその根拠となる法令に違反してされた場合に害されることとなる利益の内容及び性質並びにこれが害される態様及び程度をも勘案するものとする。
横浜市の保育園に関する地裁判決を巡って、条例制定の処分性については既に認められる潮流にあることを過去に掲載したことがありますが(http://d.hatena.ne.jp/kei-zu/20061116/p1)、処分性の概念については思いのほか広いことになりそうです。