自治体法務の備忘録

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ブラック・ジャックと手塚治虫

 図書館の書架で見つけた懐かしい書名に、ふと手が伸びました。

ブラック・ジャック (1)

ブラック・ジャック (1)

 ハードカバーの愛蔵版ですが、多くの人の手に触れて、いささか装丁が傷んでいます。
娘「あ、『ぶやっく・じゃっく』なのよれ」
(上のセリフ、間違いでゴンス)

娘「あ、『ブラック・ジャック』ね」
私「知っているの?」
娘「うん、『火の鳥』と一緒に、クラスの男子の間で大人気」
手塚先生ぃー。゜゜(´□`。)°゜。
 私も小学校高学年の頃、近くの図書館の児童室で、ボロボロになった少年チャンピオンコミックスを手に取って夢中で読みましたっけ。
 実に久しぶりに本作を読んでみれば、完璧なネーム(台詞とコマ割)に唸るばかり。
 この歳で読むことで新たな発見もありました。
 「ブラック・クイーン」とあだ名される凄腕女医に恋人がいることが分かると、ブラック・ジャックは、恋人の手術にあぐねていた彼女に代わって完璧に手術をこなし、去り際にそっと「ジャックからクイーンに」と書かれた手紙を破り捨てます。なんて男のロマンチズム。
 ことほど左様に、本書は傑作揃いである訳なのですが、それも道理、傑作と言われた本シリーズのうち選りすぐりの作品が、この「第1巻」に収められているのですから。
 前述の少年チャンピオンコミックスにおける「ブラック・ジャック」の刊行は、手塚治虫の死後も続きましたが、最後の数巻に収録されている作品は、いずれも当初は単行本の収録が見合わされていたもの。どれもたいしたことがありません。大手塚とあっても、作品の質にムラがあるのは、やむをないところでしょう。
 いや、多作家であった手塚にとっては、いくつもの名品を支えているのは膨大な作品数だと言い換えることができるかとも思います。
 「週刊少年チャンピオン」誌で本作の後、いくつか連載された作品群は、ファンにとってもいささかouto of dateと感じざるを得ませんで、本作を思わせる、無免許のタクシードライバーを主人公とした、
ミッドナイト(1) (手塚治虫漫画全集)

ミッドナイト(1) (手塚治虫漫画全集)

でも、その勢いは復活しませんでした。
 もっとも、「ブラック・ジャック」連載時の手塚治虫は劇画の隆盛に押され、人気も落ち、漫画業界ではすっかり「過去の人」の扱いであったと言います。まさしく起死回生の1作であったわけですが、本作の後も一時の停滞を経て、大人向けドラマとしての
アドルフに告ぐ(1) (手塚治虫漫画全集)

アドルフに告ぐ(1) (手塚治虫漫画全集)

が話題を呼び、手塚治虫ここにありを世に知らしめたことは、ご存じの方も多いでしょう。