自治体法務の備忘録

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審査基準の設定と処分の取り消し

 昨日の記事(http://d.hatena.ne.jp/kei-zu/20100519/p1)で、都道府県の許認可の基準について地方自治法を確認しましたが、拙blogをご覧の方はご承知のとおり、行政手続法には、行政庁に対する申請に際しての審査基準の規定があるところ、このたびの自治紛争処理の申立てに関する勧告と同様に、厚労大臣のした処分が手続違反として取り消された事例が高裁判決にあります。
【医師国家試験予備試験受験資格認定処分取消等請求控訴事件(原審・東京地方裁判所平成8年(行ウ)第252号)】http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?action_id=dspDetail&hanreiSrchKbn=01&hanreiNo=15577&hanreiKbn=04
 本判決に当たっては、高裁で弁論集結し、原告に敗訴な濃厚であったものが、阿部泰隆教授(中央大学)による審査基準に関する主張から弁論が再開され、上記に至ったとのことです。*1
 当たり前の話しですが、手続の瑕疵は、司法判断をひっくり返ってしまう恐ろしさを秘めています。
 とはいえ、手続違反による処分の取り消しを受けて、新たに適正な手続を経た処分結果が出たとしても、それが申請者の要望に叶うものであるかは、また別の問題として注意が必要ではあります。

*1:「対行政の企業法務戦略」70頁