自治体法務の備忘録

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法制新規赴任者の方へ

 先日、他の自治体の方々を宴席を囲ませていただいた際に、法制部門に新規に赴任された方から自学自習についてのご相談をいただきました。お酒が入っていたので、その場では適当なことを言ってしまったと反省もいたしまして、その後思いついた内容を追ってメールさせていただきました。
 参考書も良書はきりがないのですが、辞書的に利用するものは避けるとともに、実践的なとっかかりになるものを紹介したつもりです。

【入門書】

絶対わかる法令・条例実務入門―行政を知りつくすために読む本

絶対わかる法令・条例実務入門―行政を知りつくすために読む本

※名前は大げさですが、頁も少なく、通勤電車の中でも気軽に読める本です。
法律入門 判例まんが本〈10〉行政法の裁判100

法律入門 判例まんが本〈10〉行政法の裁判100

※基礎的な判例情報は頭に入れてしまいましょう。
自治力の達人―分権推進型法解釈のススメ (慈学社ブックレット 慈学社政策法学ライブラリイ 14)

自治力の達人―分権推進型法解釈のススメ (慈学社ブックレット 慈学社政策法学ライブラリイ 14)

※こちらはブックレット。最先端の政策法務論をコラム形式で楽しく読めます。
※北村先生の「自治力」シリーズはどれも楽しい。私が作成した「政策法学ライブラリィ」リストでご確認ください。
http://www.amazon.co.jp/%E3%80%90%E8%87%AA%E6%B2%BB%E4%BD%93%E6%B3%95%E5%8B%99%E3%80%91%E6%94%BF%E7%AD%96%E6%B3%95%E5%AD%A6%E3%83%A9%E3%82%A4%E3%83%96%E3%83%A9%E3%83%AA%E3%82%A3/lm/13JAIVMZDKSBO/ref=cm_lmt_dtpa_f_1_rdssss0

法制執務

市町村条例クリニック

市町村条例クリニック

※実践的な法制執務の理解に役立つ本
※「条文づくり」が政策立案と一体であることがよくわかります。

【法律相談】
 新規赴任者にとって一番困るのが法律相談だと思います。
 知識を蓄積するのと場数をこなすことが大事だと思いますが、以下の書籍をお読みいただく際に、引用される根拠法令の原文にあたっていただけたら随分と地力が付くと思います。

新版 地方自治問題解決事例集 第1巻 「行政編」

新版 地方自治問題解決事例集 第1巻 「行政編」

新版 地方自治問題解決事例集 第2巻 公務員編

新版 地方自治問題解決事例集 第2巻 公務員編

〔新版 地方自治問題解決事例集〕第3巻 財務編

〔新版 地方自治問題解決事例集〕第3巻 財務編

「実務相談 法制執務」(加除式)http://shop.gyosei.jp/index.php?main_page=product_info&products_id=4753

【検定】
「法学検定」行政コース3級を私は以前から推薦しています。
http://www.jlf.or.jp/hogaku/index.shtml
(問題集の中からしか出題がされないという点で、とっかかりのハードルが非常に低いのです)
※今年は11月14日実施。受付は9月6日から10月12日まで。まだ間に合う!
※今は「自治体法務検定」も選択肢のひとつでしょうね。「宅建」も良いですよ。

 また、兵藤直樹氏(浦安市)がご執筆の「例規審査考察」という論文*1が、例規審査について、自治体の実務を踏まえたとても良い内容ですので、執務のご参考までにご案内させていただきました。
 とはいえ、こればっかりは不断の研鑚が必要でありまして、私自身が発展途上で人に意見できるほどの見識を持ちません。むしろ大事なのは、ある程度の知識と経験を積んだ上で、いろいろな方々との議論を深め、「自分で発想する」アタマを育てていくことでしょう。
 そんなわけで、また宴席ご一緒しましょね。

*1:鈴木庸夫先生還暦記念論文集「政策・法・哲学」に収録