自治体法務の備忘録

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常用漢字表の改正と用語の混在

後輩(女性)「常用漢字表が変わったじゃないですかぁ」(そういう風に話す人なのです)
私「うん。法令への適用日は来年1月以降みたいだけどね」
後輩(女性)「一部改正のとき、『っ』『ょ』みたいな拗音促音は従前の法文に合わせるじゃないですか。漢字の場合はどうなんですかぁ」
私「今回の附則に、そこらへんまとめて書いてあるよ」

【法令における漢字使用等について】
1・2 (略)
3 新たな法律又は政令を起案する場合のほか,既存の法律又は政令の改正について起案する場合(文語体の法律又は勅令を文体を変えないで改正する場合を除く。)にも,この決定を適用する。なお,この決定を適用した結果,改正されない部分に用いられている語の表記と改正される部分に用いられるこれと同一の内容を表す語の表記とが異なることとなっても,差し支えない。
4 (略)

後輩「『差し支えない』って、嫌ですぅ」
私「そうだね。でも、困ったときの『ワークブック法制執務』を見ると、従来の常用漢字が示された昭和56年当時の通知でも同様に『差し支えない』と示されたことを記述して(601頁)、以下のような記載がある」

法令の改正については、それが必要最小限度においてなされるべきものであるとの前提が取られているところ、このような前提の下では、その表記についての改正も、その実体の改正が行われる部分を対象として行えば足りるということで、表記について法令全体についての見直しということはされないからである。
(611頁)
※強調はkei-zuによる。

 そして、「外(ほか)」が昭和29年の「法令用語改正要領」の制定により平仮名書きするように改められ、その後の改正経緯で同じ条の中に混在するようになった事例を紹介しています(612頁)。

生活保護法】昭和25年法律第144号
社会福祉法人及び日本赤十字社の保護施設の設置)
第四十一条 都道府県、市町村及び地方独立行政法人ほか、保護施設は、社会福祉法人及び日本赤十字社でなければ設置することができない。
  (略)
3 都道府県知事は、前項の認可の申請があつた場合に、その施設が第三十九条に規定する基準の、左の各号の基準に適合するものであるときは、これを認可しなければならない。
  (略)
※第1項は、平成15年法律第119号による改正

私「今回の見直しで、『すべて』は『全て』になるみたいだから、このような語は混在することになるんだろうね」
 いやあ、年度末議会で大きな改正が有る場合は堪らないなぁ。