自治体法務の備忘録

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スター・ワーズ

 銀河系を舞台とした壮大なお話…ではありません。

スター・ワーズ

スター・ワーズ

 星新一の文体に特段の思い入れがあることは、以前に「特別な思い入れのある本、心に残っている本5冊(まで)」として記事に記述したことがありますが(http://d.hatena.ne.jp/kei-zu/20050914/p5)、本書は、氏の著作等からの「名言」を引用して構成されています。
 端的な言い回しの中に、シニカルながらも暖かい著者の人間性がにじみ出るようで、どの作品も何度も読み返したにもかかわらず、黙読でもその文体を転がして楽しんでしまいます。
 そう、本書でもご自身の言葉で「私の書いたものは七五三の千歳飴みたいなもので、一定の年齢になると読んでくれるが、それ以後は見向きもされない」を自虐的な物言いがされていますが、私について言えば「卒業」なんてとんでもない。今新作が出れば、買いに飛んで行きます。
 なお、本書の編者は星新一の直接のお弟子さんにあたる方で、
星新一 一〇〇一話をつくった人

星新一 一〇〇一話をつくった人

には、その関わりやご自身の創作についても胸が熱くなるエピソードがあります。良書でもあるので、ご興味ある方はご一読を。
 さて、本書での引用は、著書からの引用だけでなく幅広く座談会やインタビューでの発言も含み、師匠に対する愛情が構成に感じられます。しかし、何より読んで嬉しいのは、編者である江坂氏ご自身にかけられた生前の星氏のご発言の数々です。
 作家の「名言集」の編纂に、本来であれは個人的なやりとりの記述は適当ではないのかもしれませんが、そこに浮かび上がる後輩に対しての優しくも厳しい指摘は、氏の著書の初読から歳を重ねた私にも訴えかけるものがあります。

適当に逃げる要領を覚えたら、レベルが下がる一方だから。
(182頁)

 ああ、星先生、すいませんすいません。