自治体法務の備忘録

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否決議案の再議

後輩「議会で否決された条例案って、再議に付すことができるんですか?」
私「ちょっと考えてごらん。再議に付した場合、議決要件はどうなるの?」
後輩「そりゃあ、出席議員の3分の2以上による『反対』で・・・あれ?」

地方自治法
第百七十六条 普通地方公共団体の議会の議決について異議があるときは、当該普通地方公共団体の長は、この法律に特別の定めがあるものを除くほか、その議決の日(条例の制定若しくは改廃又は予算に関する議決については、その送付を受けた日)から十日以内に理由を示してこれを再議に付することができる。
2  前項の規定による議会の議決が再議に付された議決と同じ議決であるときは、その議決は、確定する。
3 前項の規定による議決のうち条例の制定若しくは改廃又は予算に関するものについては、出席議員の三分の二以上の者の同意がなければならない
4〜8 (略)

私「気がついたようだね。『反対』は『賛成』とは違って積極的な意志表示ではないから、再議に付すことはできないんだよ」
後輩「だって、修正可決された場合は再議に付せるわけでしょう」
私「その再議での議決は、出席議員の3分の2以上で『賛成』する意思表示が必要になるわけ」
後輩「なるほど。でも、同じ原案に対する議会の意思表示なのに、それって整合がとれてないんじゃありません?」
私「いやいや、だって、首長がなんでも再議できるとなっちゃ、実質的に過半数による多数決を否定することになって、常に3分の2が必要になるじゃない」
後輩「ああ、そうか」
 地方議会ではそもそも否決議案が少ないせいか、上記についてはあまり理解がされていないように思えます。