自治体職員のジレンマと政策法務
時折、政策法務研修の講師を務めさせていただくことがあります。お若い方が聴衆でいらっしゃる際は、最後のまとめとしてこんなお話をすることがあります。
自治体職員のジレンマというのは、
- 法で定められていること
- 本来「あるべき」こと
- 実際にできること
が三すくみであることなのではないでしょうか。
「法律による行政の原理」により、私たち公務員には法律の適切な執行が要請されます。
ただ、その「あるべき」が法律にちゃんと定まっていればいればよいのですが、法律が現状を把握していないことも少なくありません。
では、実務において最善の対処をしようとしても、法律や財政上の制限により、目的を達成できない事例も少なくないかと思います。
一方で、法律は実施不可能とも思えるハードルを現場に求める事例があります。でも、そのハードルの中には、現状の課題を必ずしも解決するものではないのではないか、と疑問を持たざるを得ないものもあります。
でも、その三すくみの中で葛藤するのが「政策法務」なのではないでしょうか。
ちょっと違う話をします。
- やらなければいけないこと
- やりたいこと
- 実際にやれること
も三すくみかと思います。
皆さん、子どもの頃はどんな夢を持たれていたでしょうか。プロ野球選手?アイドル歌手?小説家?
自分の能力の限界から「なりたい職業」などの夢から離れていく、これがオトナになることですよね。
でも、オトナは自分の与えられた状況で生きていかなければいけない。仕事をしなければいけない。
「やらなければいけない」中で「やれること」をやってみる。そこに「やりたいこと」が見つけられれば、達成感があるのではないでしょうか。
地方公務員という仕事はそれができるものだと、私は考えています。
そして、「政策法務の実践として、分権前からも先輩方は頑張ってきました。今度は皆さんの番です」と締めくくらせていただいています。
このような説明は、公務員が講師であるから行えるのではないかと、ちょっとだけ先輩風を吹かせながら思うところです。