自治体法務の備忘録

管理人のTwitterは、@keizu4080

自治体職員のジレンマと政策法務

 時折、政策法務研修の講師を務めさせていただくことがあります。お若い方が聴衆でいらっしゃる際は、最後のまとめとしてこんなお話をすることがあります。

 自治体職員のジレンマというのは、

  • 法で定められていること
  • 本来「あるべき」こと
  • 実際にできること

が三すくみであることなのではないでしょうか。
 「法律による行政の原理」により、私たち公務員には法律の適切な執行が要請されます。
 ただ、その「あるべき」が法律にちゃんと定まっていればいればよいのですが、法律が現状を把握していないことも少なくありません。
 では、実務において最善の対処をしようとしても、法律や財政上の制限により、目的を達成できない事例も少なくないかと思います。
 一方で、法律は実施不可能とも思えるハードルを現場に求める事例があります。でも、そのハードルの中には、現状の課題を必ずしも解決するものではないのではないか、と疑問を持たざるを得ないものもあります。
 でも、その三すくみの中で葛藤するのが「政策法務」なのではないでしょうか。
 ちょっと違う話をします。

  • やらなければいけないこと
  • やりたいこと
  • 実際にやれること

も三すくみかと思います。
 皆さん、子どもの頃はどんな夢を持たれていたでしょうか。プロ野球選手?アイドル歌手?小説家?
 自分の能力の限界から「なりたい職業」などの夢から離れていく、これがオトナになることですよね。
 でも、オトナは自分の与えられた状況で生きていかなければいけない。仕事をしなければいけない。
 「やらなければいけない」中で「やれること」をやってみる。そこに「やりたいこと」が見つけられれば、達成感があるのではないでしょうか。
 地方公務員という仕事はそれができるものだと、私は考えています。

 そして、「政策法務の実践として、分権前からも先輩方は頑張ってきました。今度は皆さんの番です」と締めくくらせていただいています。
 このような説明は、公務員が講師であるから行えるのではないかと、ちょっとだけ先輩風を吹かせながら思うところです。