自治体法務の備忘録

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議論の平行線と「核の冬が来る!」

 むかしむかし、ロボットアニメ映画がありましてね。
 宇宙時代を迎えながら、政治構造を含めなお旧来の思考・行動から脱し得ない地球の人々に対し、主人公のライバルたる宇宙移民の指導者は、地球に巨大な隕石を落下させ生態系を破壊することによって「粛清」を行おうとします。
 これに阻むべく、衛星軌道上に立ち塞がる主人公。「なんでこんなものを地球に落とす!? これでは、地球が寒くなって人が住めなくなる! 核の冬が来るぞ!」
 ところが、相手はその「核の冬」を起こそうとしているわけですから、合理的な説得になりません。まあ、そんなツッコミはクライマックスの見せ場に飲み込まれてしまうのですが。
 半鐘さんがご掲載の記事から

地方消滅に関しては、反対側の本も読んでおく必要があろうと思い、買ってみました。
(略)
著者本人の中には、いいものがありそうな気もしなくもないのだが、いかんせん、よく伝わってこない。
http://hanshoblog.blog50.fc2.com/blog-entry-912.html

 「地方消滅」は統計からみた行政論および経営論。これに対し「地方消滅の罠」は、事例からみたコミュニティ論および地域論です。
 「〜罠」は、地域「復興」に関する個別の事例を挙げますが、それは課題解決のグランドビジョンに結びつかない。もっともそれを言えば、「地方消滅」自体も、明確な解決手段を提示していません。逆に言えば、それが事態をセンセーショナルに煽るとの批判がされる原因でもありましょう。
 確かに「無くなるのは行政であって地域ではない」かもしれませんが、国民主権のわが国にあって、国の制度は国民の生活の維持向上を担保すべきものでありますし、必要なインフラの整備を含め、地域に真摯に向かい合うのが地方行政であるはずです。
 噛み合わない議論を見るたび「核の冬が来るぞ!」と耳元に主人公の声が聞こえる思いがあります。そうそう映画のラストは、落下する隕石を軌道上に押し止めようといつしか敵味方が一体となる中で、対立点をあいまいにしました。
 眼前の課題を解決すべき手法を多様な立場で支えられたら良いのですが。