自治体法務の備忘録

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通達の失効

え〜っ!?私が、その日付を聞いて、水を差します。
>その通達は、平成12年の地方分権一括法の施行に伴い、たぶん、失効していると思いますけど・・・。
あわてて、県のご担当者に確認すると同じお答え。
>そういう通達があったことは事実ですが、分権改革以降、この通達に強制力は一切ありません。
http://d.hatena.ne.jp/nationfree/20051206/p1

 うわあ、お疲れ様です。
 私も、政策法務を説明する前段として、地方分権の事実を説明するために通達の効力性の失効から話し始めることが多いです。
 せっかくの機会なので、地方自治法の改正時に発せられた通知の例をテンプレ化しておきましょう。

                   事  務  連  絡
                  平成12年12月25日
 都道府県・指定都市
 都市計画主管課担当 殿
                  建設省都市局長都市政策

   「地方分権に伴う都市行政に係る既存の通知等の取扱について」について

 今般、本年4月1日の改正地方自治法の施行に伴う都市局関係の通達・通知等の取扱を明確にするため、「地方分権に伴う都市行政に係る既存の通知等の取扱について」を通知することになりました。
 本件通知は、地方分権推進計画及び改正地方自治法の趣旨にかんがみ、既存の通達・通知等は技術的助言等として取り扱い、法令の根拠に基づかない事務の義務づけは、効力を有しないものとして運用している旨を明確にするものであり、本件通知により新たな位置づけを与えるものではありません。
 本件通知の対象は、既存の都市局関係の通達・通知等(補助事業関係を除く。)となっております。個別の文書の適用関係については疑義のある場合は、それぞれの文書の都市局の担当課までお問い合わせください。

                   建設省都政発第85号
                  平成12年12月25日
 都道府県知事・指定都市の長 殿
                   建設省都市局長

   地方分権に伴う都市行政に係る既存の通知等の取扱について

 地方分権については、地方分権推進計画(平成10年5月29日閣議決定)に基づき、都市行政においてもその推進を図っているところであるが、従来、建設省から都市行政に関して地方公共団体に対して発出されている文書(国の地方公共団体に対する支出金の交付及び返還に係るものを除く。以下「通知等」という。)の取扱いについては、下記のとおりとしているので、ご了知願いたい。
 なお、都道府県におかれては、貴管下市町村(指定都市を除く。)に対してこの旨周知いただくようお願いする。
               記
 既存の通知等については、文書の如何にかかわらず、地方分権の推進を図るための関係法律の整備等に関する法律(平成11年法律第87号)による改正後の地方自治法(昭和22年法律第67号)第245条の4の規定による技術的助言若しくは勧告又は資料の提出の要求としており、法令の根拠によらず協議・承認等の関与や計画の策定等の事務を義務づけている部分については、地方分権推進計画の趣旨を踏まえ、地方公共団体に対して法的拘束力を有しないものとしていること

 その他の省庁の通知の一覧(総務省資料)は→http://www8.cao.go.jp/bunken/bunken-iinkai/saisyu/betu1.html
 なお、ご存じない方の為に付け加えますと、これらの「旧通達」であったものは膨大な量であるので、一般的な六法全書等には収録されておらず、インターネットを利用しても検索が難しいのが原状で、収録されたものとしては、「基本 行政通知・処理基準(全85巻)」(ぎょうせい)があります。この書籍も地方自治法の改正により従来の「基本行政通達」から名称が改められています。
※通知文について、当初は抜粋で掲載しましたが、当時のニュアンスが伝わらないので全文掲載としました。