自治体法務の備忘録

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法令のイロハ

 法令の「イロハ」といっても、初級編ということではありません。
 法制執務で、「号」の細分は「アイウ」なのか「イロハ」なのか聞かれました。
私「横書きのときは『アイウ』、縦書きのときは『イロハ』になるわけ」
先方「変わっちゃうんですか」
私「縦書きの例規機械的に横書きにする際の困難さの一例だよ。漢数字を算用数字に置き換えるようにはいかないわけ」
先方「引用されている条項もありますしね」
私「イロハって、全部言えるかい?」
先方「チリヌルヲ、ぐらいまでなら」
私「情けないな。俺は小学校で習ったぞ」
先方「kei-zuさん、昔の人だから」
私「先生の趣味だったんだよ。でも、子どもの頃に教わっておかないと覚える機会は無かっただろうな」
 法令の「イロハ」についてはおもしろい話しがあるんだよ、と参議院法制局の「法制執務コラム」を紹介しました。

 号の細分に関係して、少なからずマニアックな話で恐縮ですが、国土庁設置法の中に、先般の通常国会で成立した被災者生活再建支援法の附則による改正で、「イ、口、ハ…」で列記された事項がとうとう「…エ、ヒ、モ、セ、ス」の「ス」まで到達することになってしまった条文があります。次回、この条文を改正して列記事項を追加するときにはどうするのか、筆者のように立法技術に関係する仕事に携わる者にとっては、なかなか興味深いところがあります(自分が担当することになったら頭を抱えそうですが…。)。
http://houseikyoku.sangiin.go.jp/column/column021.htm
※強調はkei-zu

私「その後、どうなったかな。現物を見てみようか」
先方「『国土庁設置法』って、省庁再編で廃止されてますね」

(所掌事務及び権限)
第4条 国土庁の所掌事務の範囲は、次のとおりとし、その権限の行使は、その範囲内で法律(法律に基づく命令を含む。)に従つてなされなければならない。
 1〜22 (略)
 23 次に掲げる法律(これらに基づく命令を含む。)に基づく内閣総理大臣の権限に属する事項について内閣総理大臣を補佐すること。
  イ〜ス (略)
  ン 新事業創出促進法(平成10年法律第152号)
 24・25 (略)

 「ン」かぁ。
先方「さすがに、これ以上は無理ですね」
私「無理なんで、国土庁って、無くなったんじゃないかな」
先方「無茶苦茶言わないでくださいよ」
 なお、改編後の国土交通省の所掌事務は128項目にもわたり、号立ての数字に改められています。