自治体法務の備忘録

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是正要求と自治紛争処理委員

 住基ネットに接続しない国立市について、総務省東京都知事に是正の要求を指示したことは、先般、拙blogでもご紹介しました。
住基ネット不参加に初の是正要求 総務相国立市に】http://d.hatena.ne.jp/kei-zu/20090213/p1
 これに対して、国立市は引き続き不参加への方針を変えていません。

国立市住基ネット不参加変えず 是正要求受け表明】
 住民基本台帳ネットワーク(住基ネット)への不参加を続けている東京都国立市の関口博市長は24日、参加するよう是正要求されたことについて、個人情報保護などを理由に挙げ、当面は方針を変えないと表明した。
(略)
 地方自治法では、要求に不服があれば自治紛争処理委員による審査を総務相に申し立てることができるが「委員は総務省が人選するため、結果は分かっている」として、検討していないとした。
http://www.47news.jp/CN/200902/CN2009022401000766.html

 発端は総務大臣の要求であるにもかかわらず、自治体間の紛争を処理することを目的とする自治紛争処理委員の名前が記事中に見られるのは、国立市が受ける「要求」自体は東京都から発せられるものであるからです。
 この前段、東京都が総務省から指示を受けた場合において、もし、その内容に納得がいかないときは、知事から国地方係争処理委員会に審査を申し出ることになったわけですね。
 このことについて、前述の私の記事では国会会議録を引いて次のように掲載させていただきました。

国会における大臣答弁の中では、都道府県が各大臣の指示に従うときは、その内容を納得しているときであって、そこで生じた問題は都道府県が負うものとされています。「国−都道府県−市町村」の明確な序列を避ける意図かもしれませんが、都道府県の立場が不安定である印象はぬぐえません。
http://d.hatena.ne.jp/kei-zu/20090213/p1

 とはいえ、国立市住基ネット不参加を巡っては。東京都は過去にも「是正の勧告」としており、このたびも、総務省からの指示を背景に「是正の勧告」が行われたところ。国地方係争処理委員会の出番はありませんでした。
 さて、そんな国立市の方針をさておいて、上記の記事の2日後の2月26日には、自治紛争処理委員に関する省令が公布されています。

自治紛争処理委員の審査の手続に関する省令】
(趣旨)
第一条 自治紛争処理委員が行う審査の手続については、地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号。以下「法」という。)及び地方自治法施行令(昭和二十二年政令第十六号。以下「令」という。)に定めるもののほか、この省令の定めるところによる。
http://www.liosgr.com/digitalroppo/S22HO067-soku1.html

 なお、報道機関の方のお話で、総務省の8階にある国地方係争処理委員会の部屋は、現在のところ、物置や会議室になっていると伺いました。
 こちらが片付けられる見込みは、もう少し先になるのでしょうか。