自治体法務の備忘録

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第1次分権改革の置き土産

 上記でご説明した「墓地、埋葬等に関する法律」に関する条例は、実は平成12年の第1次分権改革で機関委任事務が廃止された際に、多くの自治体で整備されたものです。

5 機関委任事務の廃止に伴い法施行細則を条例化する必要があるもの(地方自治法第14条第2項関係)
■ これまで、機関委任事務については、地方自治法第14条第2項の適用がなく、地方公共団体が細目等を定める場合には、明示的な委任がなくても規則によっていたものがあると考えられる。
 今回の改正により、規則における義務を課したり、権利を制限する規定は第14条第2項の適用があることから、個別の法令に照らして、条例化の必要性について、慎重に検討する必要がある。
(略)
■ 個別の規則等の事案に即して示すと次のとおりとなる。
(1)・(2)略
(3)許認可の根拠規定が法令にあり、その許可・審査基準を規定したり、条例で規定している場合。
【事例1】墓地、埋葬等に関する法律
 (略)
【考え方】許認可の根拠規定が法令にあるが、許可あるいは審査基準については規定がなく、規則で定めている場合、条例で明確に基準を定めることが必要と考えられる。(後略)

分権対応条例・規則の手引

分権対応条例・規則の手引

(43頁〜45頁)

 ここで、条例化が要請されているのは、その内容が具体的な規制基準であるからでしょう。法令からの委任がない事項について、機関委任事務廃止前と同様に規則で定めることを避けることがその意図かと思われます。
 しかしながら、上記の要請は、「首長規則」を政省令などの「命令」と混在した考えのようにも感じるところです。知事権限内の基準の設定であれば、必ずしも条例化が要請されるべきではないかもしれません。
 となると、このたびの第2次分権改革にも見受けられる条例主義は、10年前の第1次分権改革時にも見受けられたということでしょうか。
 なお、付言すれば、条例主義により、地方分権に伴う自治体議会の役割に対する期待も想定しうるところではあります。為念。