自治体法務の備忘録

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利用料金に係る過料

 分担金・使用料について、もう一つ。
 指定管理者担当課から使用料制度を利用料金制度に改めるに際し、過料を定める是非について照会を受けました。
 曰く、地方自治法第231条の3第3項の規定により、使用料については、地方税の滞納処分の例により、強制徴収することができる。しかしながら、利用料金は指定管理者と利用者の間における民事上の債権債務としての位置づけであるので、徴収の担保のために過料の規定はできないか。
 ほほう、と身を乗り出しましたが、やはり妥当では無かろうとお答えしました。理由は以下のとおり。
 使用料の徴収は、自治体の行政処分であり、使用者の救済は行政不服審査法及び行政事件訴訟法で手当てされる。しかしながら、利用料金については、民事上の債権債務とされ、行政不服審査法及び行政事件訴訟法の対象となるものではない。救済権が確保されない一方で、徴収の担保としての過料の規定はバランスを欠くのではないか。
 実は、「既納利用料金の不還付」や「使用に際しての前払い」を条例で規定することも、「民事上の債権債務としての利用料金」としての性格から、個人的には違和感を感じない訳ではありません(既に多くの自治体で規定されていますが。)。しかしながら、指定管理者がその管理を適正に行うために、ある程度の「徴収の方法」の法定化は否定されるものでも無いとは思います。どうにも難しいところです。

地方自治法
(督促、滞納処分等)
第231条の3 (略)
2 (略)
3 普通地方公共団体の長は、分担金、加入金、過料又は法律で定める使用料その他の普通地方公共団体の歳入につき第一項の規定による督促を受けた者が同項の規定により指定された期限までにその納付すべき金額を納付しないときは、当該歳入並びに当該歳入に係る前項の手数料及び延滞金について、地方税の滞納処分の例により処分することができる。この場合におけるこれらの徴収金の先取特権の順位は、国税及び地方税に次ぐものとする。
4〜11 (略)