自治体法務の備忘録

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改正漏れ

 しやくしょ法務さんがご掲載の記事から

【悪臭防止法施行規則の「あれ」】
平成13年に悪臭防止法施行令の一部を改正する政令(平成13年政令第46号)によって政令が一部改正されたとき第2条が第3条にずれてしまったことが原因です。そのとき同時に省令も改正しなければならなかったはずですが、見落としてしまったんですね。
http://tkys.txt-nifty.com/blog/2008/10/post-1401.html

 「改正漏れ」は、法制執務担当者をなかなか青ざめさせる単語です。それ自体は、合理的な解釈によって直ちに違法とは判断されえないものの、原因の発生から期間が置くとなかなか改正のタイミングが見つからない点で厄介です。

でもこの政令、全部で3条しかないものですから(ちなみに省令は29条です。)、環境省のご担当者様、ぜひ10周年を迎える前によろしくお願いします(^_^)

と、しやくしょ法務さんはご提示されていますが、3条じゃ直しにくいよね、きっと。
 なんて思っていたら、branchさんがご掲載の記事で、半世紀も改正がなされていなかった事例が。

 今春まで続いた過剰接待事件の陰で、一部の銀行の職員を収賄の対象と定めていた古い法律が変わった。国策銀行として生まれた日本興業銀行北海道拓殖銀行、第一勧銀(合併前の日本勧銀)の社員がわいろを受け取れば、懲役刑とした戦前からの法律だ。昨年ひっそりと改正され、今年の4月に施行された。改正後2ヵ月たつが、関係者にもほとんど知られていない。
(略)
 「経済関係罰則の整備に関する法律」。特別の法律により設立された独占的事業を営む会社や団体の職員は、職務に関してわいろを受け取れば懲役3年以下などとした法で、1944年に施行された。
 商工組合中央金庫国際電信電話電源開発など 37の法人や団体が、法の別表の中で具体的に収賄対象と例示されていた。しかし 戦後は対象団体が次々と廃止されたり、特別法が廃止されて純粋の民間企業に変わったりしたため、経済関係罰則法も改正し、収賄対象団体を次々と削除していった。
 3行も、国策銀行と位置づけた特別法が50年に廃止されたのと同時に独占的な事業の担い手ではなくなり、普通銀行などに転換した。法務省によると、すでに、この時点から実質的に収賄の摘発対象からはずれたという。本当なら罰則法も改正のはずだが、47年も置き去りにされたままになっていた。日銀法が改正されたのをきっかけに、ようやく3行も対象から削除された。

 というわけで、日本勧業銀行法等を廃止する法律(昭和25年法律第41号)によって日本勧業銀行法(明治29年法律第82号)、北海道拓殖銀行法(明治32年法律第76号)及び日本興業銀行法(明治33年法律第70号)を廃止する際に、 経済関係罰則の整備に関する法律(昭和19年法律第4号)の別表から興銀等を削除しておくべきところをなぜかそうせず、日本銀行法(平成9年法律第89号) によって手当てするまで放置してしまっていた、と。まあ、この手の改正漏れは何かの機会にこっそり直すのが常なわけだけれども、47年間も手当てしていなかったというのは珍しい。
http://www.seri.sakura.ne.jp/~branch/diary0810.shtml#1016

 半世紀…
 完璧を期すのはいかに難しいことか。
 そう言えば以前に、「条項ずれのみの条例改正はしない」という自治体のお話を伺ったことがありまして、そのこと自体はその自治体のご判断なのでしょうけれども、法改正の頻度が激しいこの節、申し送りが大変であろうかと思いました。