自治体法務の備忘録

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情報公開法とインカメラ審理

 先般ご紹介した(http://d.hatena.ne.jp/kei-zu/20090119/p2)、国の情報公開に係る裁判におけるインカメラ審理について、情報クリアリングハウス理事のblogに詳細が掲載されていました(半鐘さんの記事のコメント(http://hanshoblog.blog50.fc2.com/blog-entry-85.html#blogcomment)経由で)。

【情報公開にまつわる日々の出来事−情報公開クリアリングハウス理事日誌】最高裁 検証物提示命令申立てを却下(http://johokokai.exblog.jp/10627748/
 インカメラ審理を巡る論議で、裁判官の補足意見として引用されている内容が非常に興味深いものです。 

【泉徳治裁判官】
 ところで、新たな立法によって情報公開訴訟にインカメラ審理を導入することは、以下に述べるように、裁判の公開原則を保障する憲法82条に違反するものではなく、訴訟制度構築に係る立法裁量の範囲に属すると考える。
(略)
 裁判を受ける権利を充実させるものである以上、情報公開訴訟におけるインカメラ審理は、憲法82条に違反するものではないと解すべきである。

宮川光治裁判官】
(前略)
情報公開訴訟へのインカメラ審理の導入に関しては、ヴォーン・インデックス手続と組み合わせ、その上でインカメラ審理を行うことの相当性・必要性の要件について慎重に配慮すべきであるが、情報公開制度を実効的に機能されるために検討されることが望まれる。

 記事中にも掲載される民事訴訟法など、各法律におけるインカメラ審理については、総務省が掲載している資料にその抜粋があります。
【いわゆるインカメラ審理に関する規定の例】http://www.soumu.go.jp/gyoukan/kanri/jyohokokai/pdf/050125_sanko2.pdf
 上記blogでは、これらの前向きな指摘を踏まえて、「というわけで、こうなったら目指せ情報公開法改正!ですね。」と結ばれています。
 なお、最高裁のサイトにアップされた内容は以下のとおりです。

【検証物提示命令申立て一部提示決定に対する許可抗告事件】平成21年01月15日最高裁判所第一小法廷
情報公開訴訟において不開示文書につき被告に受忍義務を負わせて検証を行うことは,原告が立会権を放棄するなどしたとしても許されず,そのために被告に当該文書の提示を命ずることも許されない。
http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?action_id=dspDetail&hanreiSrchKbn=02&hanreiNo=37198&hanreiKbn=01