自治体法務の備忘録

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拗音とか促音とか

いや、もう拗音や促音は改正のついでに全部小文字にしたらいいじゃないですか。だめ?
http://d.hatena.ne.jp/washita/20050429#p1

 ねえ。
 最近の民法改正の例でもあるとおり、字句整理の目的をもって一斉に行うことはできると思うのですけれども。
 法制執務の無用な敷居の高さが法令(条例)を国民(市民)から遠ざけていると思いますので、特に基礎自治体においては、住民自治を推進するために「分かりやすい法体系」を構成することが政策法務論的に論じられるべきでしょう。(とはいえ、「です」「ます」文体の条例は、個人的には違和感はあります(^^;)
 試みの一つとして、熊本市で「熊本市条例の用語等の見直しに伴う関係条例の整備に関する条例(平成14年9月25日公布)」があります(一部改正条例なので、熊本市例規集には掲載されていませんが)。これは、拗音や促音、送りがな等について、122本の条例を改正しようとするものです。
 余談ですが、拗音や促音、送りがなの整備以外についても、各自治体ごとには、例規の条文のクセ(「附則」を「付則」と書いたり)みたいなものがありますので、インターネットで全国の自治体が比較できる現在において、これからは極力スタンダードな法文を編むべきだと思います。

有力議員の法人に委任 さいたま市の施設

 地方自治総合研究所の三野靖研究員も「同制度は行政処分であるゆえに、自治法の契約条項にあたらないという見解は、必ずしも妥当ではない。兼業禁止規定は自治体が独自に条例で定めればいいことだ」と指摘する。
 実際、埼玉県和光市では、議員だけでなく首長ら三役、監査委員、教育委員会委員に至るまで兼業禁止規定を条例で定めており、同市の担当者は「私どもは制度が違っても、従来の管理委託制度の契約と類似していると考え、業務委託が単年度なのに対し、指定管理者の指定期間に制限がないことから、独自に条例で兼業禁止規定を盛り込んだ」と説明する。
http://www.tokyo-np.co.jp/00/tokuho/20050501/mng_____tokuho__000.shtml

 赤字を出してでも議員が経営するのでは、たとえ動機が高邁なものであろうとも、票田の確保と勘ぐられるものでありましょう。
 和光市の条例を見てみましょう。

和光市公の施設に係る指定管理者の指定手続等に関する条例】
(選定方法及び選定基準)
第4条 市長は、前条の規定による申請があったときは、次の各号のいずれにも該当するもののうちから最も適当と認める団体を指定管理者の候補者として選定するものとする。
(1) (略)
(2) (略)
(3) (略)
(4) 市長、助役、収入役、法第180条の5の規定により市に設置する委員会の委員若しくは委員(以下この号において「市長等」という。)又は議員が、市に対し主として指定管理者の業務及び請負をする法人(市長等の場合にあっては、市が資本金、基本金その他これに準ずるものの2分の1以上を出資している法人を除く。)の無限責任社員、取締役、執行役若しくは監査役又はこれらに準ずべき者、支配人及び精算人である法人でないこと。
(5) (略)
http://www.city.wako.saitama.jp/reiki_int/reiki_honbun/e3300479001.html

 この点

指定管理者制度―自治体施設を条例で変える

指定管理者制度―自治体施設を条例で変える

では、次のように記載されています。

 また、請負にも該当しないため地方自治法条の兼業禁止規定(第92条の2、第142条、第180条の5第6項)も適用されない。この点については、総務省の解説でも指摘されているところであり、首長や議からの影響力を排除し、政治的中立性を確保するためにも条例による規制が必要である。
(28頁)

 自治体のよっては、上記の地方自治体の規定を準用する旨の規定ぶりをしているところもあります。

青梅市公の施設の指定管理者の指定の手続等に関する条例】
(兼業の禁止)
第11条 法第92条の2、第142条(法第166条第2項および第168条第7項において準用する場合を含む。)および第180条の5第6項の規定は、指定管理者について準用する。この場合において、法第92条の2および第142条中「当該普通地方公共団体に対し請負をする者及びその支配人又は主として同一の行為をする法人」とあるのは「指定管理者」と、第180条の5第6項中「当該普通地方公共団体に対しその職務に関し請負をする者及びその支配人又は主として同一の行為をする法人」とあるのは「その職務に関する公の施設の指定管理者」と読み替えるものとする。
例規集のトップはhttp://www.city.ome.tokyo.jp/d1w_reiki/reiki.html

指定管理者は行政財産の目的外使用許可を行うことができるか

 このことについて、山口道昭教授は次のように書かれています。

 総務省通知では、①使用料の強制徴収(自治法231条の3)、②不服申立てに対する決定(同238条の4第4項)、③行政財産の目的外使用許可(同238条の4第4項)等を例示し、「これらを指定管理者に行わせることはできない」としている。しかし、この例示には、法律レベルの措置(②)と解釈レベルのそれ(①、③)が混在している。解釈レベルの措置には、別の解釈も可能である。
「ガバナンス」平成17年4月号 30頁

 実際、指定管理者に行政財産の目的外使用許可を認める条例も存在します。

横浜市区民文化センター条例】
(物品販売等の許可)
第11条 利用者で、センターにおいて次に掲げる行為をしようとするものは、指定管理者の許可を受けなければならない。
(1) 物品の販売その他これに類する行為
(2) 寄附の勧誘
(3) 広告物の掲示及び配布
(4) その他規則で定める行為
2 (略)
http://www.city.yokohama.jp/me/reiki/honbun/g2021223001.html

 もっとも

指定管理者制度―自治体施設を条例で変える

指定管理者制度―自治体施設を条例で変える

では、同条例を紹介するとともに、つぎのように述べています。

 ホールや会館等において、催し物の一環として物品等を販売する行為等は、施設の円滑な管理運営、催し物の収益性を考えれば、さほど問題はないようにも思われる。むしろ、このような行為は当該施設の目的内使用と考えてもいいのではないだろうか
(76頁)

 このことについて積極的な法解釈をするためには、指定管理者の職務と行政の監督責任について、市民にきちんと説明できる構築をすることが前提ですね。

奈良県条例案:気安く子どもに声掛けられぬ…「両刃の剣」懸念も

住民らの見守り活動にも限界があるだけに、地元では歓迎する声が上がる一方、顔見知り以外の大人が子どもに声を掛ける行為なども処罰の対象となる可能性が出てきた。「自由の拘束にならないか」と懸念する専門家もおり、今後論議を呼びそうだ。
http://www.mainichi-msn.co.jp/kansai/news/20050428ddf007040020000c.html

子どもを惑わす行為、販売目的外の子どもポルノの所持・保管禁止も初。条例案は6月県議会へ提案、今秋施行を目指す。
(中略)
▽澤登俊雄・国学院大名誉教授(刑事法)の話 子どもを守るための法的規制は必要だが、抽象的に声を掛ける行為や子どもポルノ所持を禁じてしまえば、自由を極端に束縛することになりかねない。刑罰を用いるなら、犯罪の構成要件を相当具体的に示す必要があり、技術的な難しさがある。不必要に行為を抑制しないような規定の工夫ができるかに成否がかかる。
http://www.mainichi-msn.co.jp/seiji/gyousei/news/20050428k0000e010069000c.html

18歳未満の児童を使ったポルノの製造・販売目的所持を禁止する児童買春・ポルノ禁止法と異なるため、条例案では規制対象を「子どもポルノ」と定義。「正当な理由なく所持、保管してはならない」とする。
http://c11om4bv.securesites.net/newspack/modules/news/article.php?storyid=218149011

 販売目的外の子どもポルノの所持・保管禁止に係る児童ポルノ法との棲み分けについては、最下段の記事のとおりのようですが、本条例の「目的」が「子どもを犯罪の被害から守る」ことであれば、「心身に有害な影響を受けた児童の保護のための措置等を定めることにより、児童の権利を擁護することを目的」とする同法と法益が異なることになるわけですね。
 ただ、娘を持つ親として、本条例の趣旨はわかるものの、所持・保管の禁止が「子どもを犯罪の被害から守る」に結びつく法的構成に首をひねるところはあります。
 余談ですが、児童ポルノ法の目的は上記のとおりですので、イラストやアニメーションの女の子は対象外とされているわけで(存在しない人間の権利は保護ができない。)。

長沼の散骨禁止条例があす施行 町とNPO、交渉が平行線のまま

散骨の禁止を盛り込んだ空知管内長沼町の「さわやか環境づくり条例」が一日施行される。町内で持ち上がった散骨による樹木葬公園計画の規制が狙い。公園を運営する札幌の特定非営利活動法人NPO法人)「22世紀北輝行研究会」(向井隆会長)は「新たな散骨はしない」と町側に伝えたが、町が求める撤退については応じず、こう着状態が続いている。
http://www.hokkaido-np.co.jp/Php/kiji.php3?&d=20050430&j=0022&k=200504307513

散骨禁止条例:「葬送の自由否定」東京のNPOが廃止請願−−長沼町 /北海道

空知管内長沼町が、散骨を罰則付きで禁止した「町さわやか環境づくり条例」(1日施行)に対し、東京のNPO法人「葬送の自由をすすめる会」(安田睦彦会長)が28日付で「基本的人権である『葬送の自由』を完全に否定するもの」として、廃止のための条例案を提出するよう、板谷利雄町長に請願書を送った。
http://www.mainichi-msn.co.jp/chihou/hokkaido/news/20050501ddlk01010051000c.html

 現実的に困っている住民がいる状況において、一方的に「葬祭の自由」を主張するのはいかがなものか、という気はしますけどね。まあ、憲法を根拠に主張する時点で(ry

憲兵とバラバラ死美人

 ’57年の新東宝作品。物語は題名ほど猟奇的でない探偵もの。というか、実録ものですか。製作は大蔵貢。やるなあ。
 仙台で起こった事件の謎を、東京から来た中山昭二ウルトラセブンのキリヤマ隊長。若いなあ)演じる憲兵が解いていくのですけれど、これはもう、時代的なもので、「ローレライ」より遙かに「軍人らしさ」が描けています。って、中山昭二は本当に軍艦に乗っていた人ですから。