自治体法務の備忘録

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続・長の調査等の対象となる法人を定める条例

 昨年12月の地方自治法施行令の改正に伴い、条例で定めるところにより、出資割合4分の1以上2分の1未満の団体を長の調査等の対象とする旨の規定の整備について、先般拙blogで掲載させていただきました
【長の調査等の対象となる法人を定める条例】http://d.hatena.ne.jp/kei-zu/20120417/p1
 その際は、対象となる団体名が規定されている条例をご紹介させていただきましたが、個別の団体名を列記せず、「出資割合4分の1以上2分の1未満の団体」として包括的に規定する例も見られます。

滋賀県地方自治法施行令に基づく予算の執行に関する知事の調査等の対象となる法人の範囲を定める条例】
 (知事の調査等の対象となる法人)
第2条 令第152条第1項第3号の条例で定める一般社団法人および一般財団法人ならびに株式会社は、県が資本金、基本金その他これに準ずるものの4分の1以上2分の1未満を出資している一般社団法人および一般財団法人ならびに株式会社とする。
2 (略)
http://www.pref.shiga.jp/ken-koho/2012-3g/g1-3-30_Part1.pdf

 条例制定の対象となる団体はすべて範囲とするという団体意志の決定なのでしょう。
 ただ、個別の団体の特性に対して判断をもとめる政令の意図からは、その規定に仕方に関し判断が分かれるところではないでしょうか。*1

これらの法人は個々に公益性の濃淡があり、出資を行った経緯や目的も異なること、長の調査等の行使により当該法人等の適切な経営に支障が生ずる可能性や、当該法人等に対する他の出資者、債権者その他の利害関係人の利益を不当に害する可能性に配慮する必要があることから、条例によって慎重に対象法人を定めるべきと判断したことによる。
実際の運用に当たっては、以上を踏まえ、地方公共団体と当該法人等との間の特別な関係について、地域の実情を踏まえて検討を行い、長等において当該法人の経営状況を把握する必要性が高い法人と判断したものについて条例でこれを定める必要がある。
地方自治」771号81頁 「地方自治法施行令の一部を改正する政令等について」

*1:包括的な指定が、すべての団体名を列記するのと効果は変わりませんが、団体名を列記することにより、当該団体に対し個別に検討を行った形式が読み取れる訳です。