自治体法務の備忘録

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住民訴訟債権放棄議決の有効性

 tihoujitiさんや半鐘さんによるご説明があり、話題に乗り遅れた感がありますが。
○神戸市
・判決文 http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20120420172426.pdf
住民訴訟債権放棄議決の有効性(神戸市)(tihoujitiさん)】http://d.hatena.ne.jp/tihoujiti/20120420/p1
さくら市
・判決文 http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20120423184236.pdf
住民訴訟債権放棄議決の有効性(さくら市)(tihoujitiさん)】http://d.hatena.ne.jp/tihoujiti/20120424/p1
【損害賠償請求権の放棄の議決(半鐘さん)】http://hanshoblog.blog50.fc2.com/blog-entry-586.html
 判決文から共通する部分を引用しておきましょう。

住民訴訟の対象とされている損害賠償請求権又は不当利得返還請求権を放棄する旨の議決がされた場合についてみると,このような請求権が認められる場合は様々であり,個々の事案ごとに,当該請求権の発生原因である財務会計行為等の性質,内容,原因,経緯及び影響,当該議決の趣旨及び経緯,当該請求権の放棄又は行使の影響,住民訴訟の係属の有無及び経緯,事後の状況その他の諸般の事情を総合考慮して,これを放棄することが普通地方公共団体の民主的かつ実効的な行政運営の確保を旨とする同法の趣旨等に照らして不合理であって上記の裁量権の範囲の逸脱又はその濫用に当たると認められるときは,その議決は違法となり,当該放棄は無効となるものと解するのが相当である。 そして,当該公金の支出等の財務会計行為等の性質,内容等については,その違法事由の性格や当該職員又は当該支出等を受けた者の帰責性等が考慮の対象とされるべきものと解される。

 最高裁判決が出るまでは、債権放棄議決のタイミングが住民訴訟判決の前後のどちらかにあるかをもって合法性の有無を検討する議論もあったのですけれど、着地点は違いましたね。
 端的には半鐘さんが説明される、

高裁「裁判所にたてつくつもりだな、違法だ違法」
最高裁「もちつけ」

ということなのでしょうな。