自治体法務の備忘録

管理人のTwitterは、@keizu4080

古新聞持ち去り無罪−「規定あいまいで違憲」

 松本弘裁判官は「区条例はごみ集積場の指定などに関する規定があいまいで、適正な刑事手続きを定めた憲法31条に違反している。区条例に従って処罰はできない」と判決理由を述べた。
http://www.hokkoku.co.jp/newspack/shuyo2007032601000309.html

 世田谷区条例の規定は以下のようになっています。

【世田谷区清掃・リサイクル条例】
 (収集又は運搬の禁止等)
第31条の2 第35条第1項に規定する一般廃棄物処理計画で定める所定の場所に置かれた廃棄物のうち、古紙、ガラスびん、缶等再利用の対象となる物として区長が指定するものについては、区長及び区長が指定する者以外の者は、これらを収集し、又は運搬してはならない。
2 区長は、区長が指定する者以外の者が前項の規定に違反して、収集し、又は運搬したときは、その者に対し、これらの行為を行わないよう命ずることができる。
第79条 次の各号の一に該当する者は、200,000円以下の罰金に処する。
(1) 第31条の2第2項の規定による命令に違反した者
(2)〜(5) (略)
http://www.city.setagaya.tokyo.jp/topics/houki/d1w_reiki/41190101005200000000/41790101008200000000/print.html

 興味深いのは、世田谷区の条例における罰則の構成は、私やid:tihoujitiさんが指摘したような所有権に基づくものではなく、リサイクルを目的とした上で「(1)持ち去り禁止→(2)禁止命令→(3)命令違反者に対する罰則」の構成になっていることです。新聞記事における「区条例はごみ集積場の指定などに関する規定があいまい」の詳しい内容が気になるところです。
【参考】

 あるいは、後述のように、自治体が十分な指定・管理を行い得ない集積所における禁止命令が法的な要件を満たし得ない、ということでしょうか。